◆◆◆◆ 6-92 燎氏の変(78) ◆◆◆◆
【 白銀夜叉 】
「さぁ――好きにやりなっ、宝玲の無頼漢どもっ! あたしも好きにやらせてもらうがねっ!!」
【 宝玲山の将兵 】
「――おおおっ!」
人呼んで白銀夜叉以下、豪傑たちが一斉に〈千陣軍魔〉へと攻めかかる。
怪異を相手に怯むこともなく、得物を振るって挑みかかっていく将兵。
その中には、ひときわ個性的な面々も混じっていて――
【 上半身が虎の男 】
「一仕事、してみせようっ……グオッ! オオオッ!」
【 獣めいた兵たち 】
『グゥルルルッ……グァオオオッ!』
腰から上が虎のように見える男が、やはり獣じみた一団を引き連れ、牙や爪を駆使して強襲を仕掛けていく。
【 小山のような巨人 】
『グォゴォオオッ……ゴォゴゴゴォォ……!』
一方では、十宙尺(約3メートル)を遥かに超える巨体を持つ完全武装の歩兵が、これまた規格外に大きい槌をブンブンと振り回し、突進していく。
【 死体の群れを操る女 】
「シーッシッシッシ! ゆけ、〈冥軍〉よ! 日頃のウップン、ここで晴らすがいい!」
【 冥軍の兵たち 】
『――――ッ』
白装束の女が、〈僵尸〉――いわゆる動く死体――の部隊に命を下せば、死せる兵たちが命知らずの突撃を敢行する。
【 六本の腕を持つ男 】
「クホホホ……これを調理すれば、さぞかしあの御方もお喜び下さるに違いない――ホホホホ……!」
やや多い腕で肉切り包丁を持った調理人姿の男が、せせら笑いながら“食材”を切り刻んでいく。
【 角と翼を持つ女 】
「ケ~タケタケタ! なにこれ? 人間? 妖魔? どっちでもいいか! たっぷり冥府に送り込んであげる~~っ!」
角と翼の生えた女が宙に浮かびながら、身の丈以上の巨大な武器を振りかざしている。
【 千陣軍魔 】
『ギッ……アアッ! アアアッ……!?』
背後からの猛烈なまでの強襲に、千陣軍魔は戸惑ったような気配を見せ、進行を停止していた。
【 カズサ 】
「うわ……あいかわらず、デタラメな連中ね……」
【 エキセン 】
「……あいつら、山から下ろして良かったのか……?」
好き勝手に暴れる援軍の様子に、安堵以上に不安を隠せない両者。
【 ランブ 】
「なんだあれは……しばらく見ないうちに、得体のしれない者たちが増えているのだが……!?」
【 ミズキ 】
「明らかに、味方に加えてはいけない面々もいるような……どうなっているのです?」
宝玲山には二年前に行ったきりの両者からすると、目を疑うような顔ぶれも混じっていた。
【 ゼンキョク 】
「まぁ、こちらもいろいろとありまして」
さらりと答えるゼンキョク。
いろいろあった、で済ませていい問題かどうかはさておき……
【 カズサ 】
「ともあれ、こちらも観戦しているわけにはいきませんっ! 援護しなくては……!」
【 ゼンキョク 】
「しかし、相手は災害そのもののような存在……ここで斃すためには、別の手法を考えねばならないのでは?」
【 ミズキ 】
「別の、手法……」
【 ヨスガ 】
「……やれやれだな、ようやくおでましか、御大将……!」
鉄虎門から離れた宮殿の陰……
シラクサから状況を伝えられて、息をつくヨスガ。
【 侍衛長 】
「……っ、これで、戦況はこちらにっ……?」
【 ヨスガ 】
「ふむ……確かに好転はしようが、“終わらせる”には、なにか手を打たねばなるまい……〈副軍師補佐〉はどうしたっ?」
苛立たしげなヨスガであったが、ふと、その脳裏に声が響く。
【 ???? 】
『大首領……聞こえているでございますか……大首領……』
【 ヨスガ 】
「! この、声は――」
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