◆◆◆◆ 6-90 燎氏の変(76) ◆◆◆◆
これほどの質量を迎撃するのは容易ではない――と、思われた、そのとき。
――ドオオオオォンッ!!
【 千陣軍魔の兵 】
「ギイイィヤアア……!?」
飛来した火矢が直撃し、大爆発を起こす……!
【 ランブ 】
「これはっ……」
【 カズサ 】
「やるわね……エキセン殿っ!」
【 エキセン 】
「こいつは――クク、爆破し甲斐がありそうなデカブツだっ……!」
ミズキよりやや遅れて駆けつけた、エキセンの手柄であった。
【 ミズキ 】
「エキセン殿――遠慮は無用にて!」
【 エキセン 】
「おお――十二賊どもにブチ込めなかった分……たっぷりと食らわせてやろうっ……!」
そう宣言するや、全身に仕込んであった大量の爆薬を露わにする。
【 エキセン 】
「炮家流、霹靂術――」
【 エキセン 】
「――〈神火〉の陣ッ! ……皆、伏せろっ……!」
そのままエキセンが仕掛けを発動させるや、点火された爆弾が一斉に発射され、千陣軍魔へと吸い込まれていって――
――――チュドオオオオンッ!!!
【 千陣軍魔 】
「――――ッッ!!」
【 カズサ 】
「~~~~っ!」
【 ランブ 】
「くっ……!」
城門はおろか宮城全体を揺るがす轟音が響き、爆風が吹き荒れる――
【 ホノカナ 】
「ひっ……!?」
天地に轟く爆音と、地震と間違うような猛烈な揺れに、思わずその場にうずくまるホノカナ。
ゼンキョクが城門へ向かったあと、負傷兵の手当てにあたっていたのである。
【 ホノカナ 】
(今のはっ……エキセンさんのっ!?)
城門の状況がどうなっているのか、はっきりしないが……
かなり剣呑なありさまなのは、伝わってくる。
*剣呑……危険な様子の意。
【 ホノカナ 】
(わたしは、どうしたらっ……)
ゼンキョクからは、適当なところでヨスガに合流するように言われてはいるが……
【 ホノカナ 】
(わたしも城門にっ……でも、行ったところで……)
足を引っ張るだけで、役に立てるとは思えない。
ヨスガならば、皆を激励することで士気を高めたりすることもできるのだろうが……
【 ホノカナ 】
(わたしがいても、驚き役しかできないし……)
それなら、出しゃばるべきではないのだろう。
【 守備隊長 】
「そこの娘っ……陛下の女官かっ? ここは危険だ、下がれっ……!」
後退してきた守備隊長が告げる。
【 ホノカナ 】
「……っ、でも、怪我人の皆さんがっ……」
【 守備隊長 】
「案ずるな――お主はお主のやるべきことをせよ!」
【 ホノカナ 】
「……っ、わかりましたっ……」
ホノカナは一礼すると、その場を駆け出す。
【 ホノカナ 】
(とりあえず、陛下のところに――)
【 ???? 】
「……殿っ、……ホノカナ殿っ……」
【 ホノカナ 】
「……ん?」
誰かが自分を呼ぶ声が聞こえて、立ち止まってあたりを見渡す……が、誰もいない。
【 ホノカナ 】
「……? ただの空耳……?」
【 ???? 】
「こっち……こっち! 右下っ……ええと逆か、左下に……!」
【 ホノカナ 】
「……わたし、疲れてるのかなぁ」
首を傾げ、再び駆け出そうとする……
【 ???? 】
「ちがっ……ホノカナ殿~~っ!」
【 ホノカナ 】
「っ!? この声はっ……」
足元から響いた声に、ホノカナは立ち止まってひざまずき、じっと目を凝らす……
【 ホノカナ 】
「……っ!? あ、あなたは――」
ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!




