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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
167/421

◆◆◆◆ 6-72 燎氏の変(58) ◆◆◆◆

 武器も持たずに刺客たちを待ち構えていたのは、若い女。

 動きやすい軽装だが鎧も身につけておらず、武器も持っていない。

 それでいて、殺気立った刺客たちを前に、余裕しゃくしゃくの面構え。

 先日ホノカナが東の宮で出会った娘、ネン・カツミであった。


【 カツミ 】

「知ってると思うけど、この先は立ち入り禁止なんだ。大人しく引き返した方が、身のためだと思うけど?」


【 刺客の頭目 】

(……なんだ、こやつはっ……?)


 先ほど遭遇した空刀使いとはまた違う、異様な感覚に襲われる。

 決して、威圧感を覚えるわけではないのに……まるで、目の前に巨大な岩が立ちはだかっているような、そんな錯覚に陥ってしまう。


【 刺客の頭目 】

「――っ、片付けるっ!」


【 他の刺客 】

「はっ……!」


 刺客たちは身構えると、一斉にカツミへと襲いかかる。


【 カツミ 】

「おっ、いいねぇ――そうでなくっちゃあな!」


 カツミは楽しげな声をあげると、ゆっくりと踏み出して――


 ポン。


【 他の刺客 】

「――がっ!?」


 ポン。


【 他の刺客 】

「……ぐあっ!?」


 ポン、ポン。


【 他の刺客 】

「…………!!」


【 刺客の頭目 】

「な――」


 襲いかかってきた刺客たちのみぞおちへ拳を軽く打ち込み、次々と地面に転がしていく。

 その華麗な身のこなしは、戦いというより、まるで演舞のようであった。


【 刺客の頭目 】

「これは――〈燃家拳ねんかけん〉か……!」


 燃家拳――シラクサに敗れたろくの仙が用いていた拳法。

 方術と武術を組み合わせることで、常人以上の力を発揮するのがその真髄であるが……

 この場合は、逆であった。


【 刺客の頭目 】

(方術で、威力を打ち消している……だと!?)


 本来ならたやすく相手の肉体を粉砕するほどの強烈な打撃を、方術で打ち消し、失神するていどの威力に抑えているのだった。


【 カツミ 】

「おっ、知ってるんだ? 嬉しいねえ! わりと地味な流派だからさぁ、知名度がいまいちなんだよ。ま、そもそも使えるヤツがあんまりいないのが問題なんだけどね……」


 汗一つかかずに、たちまち四人の刺客を打ち倒したカツミ。

 刺客たちは地に伏して悶絶してはいるが、致命傷は負っていない。

 いっそ、皆殺しにする以上の離れ業といえよう。


【 刺客の頭目 】

「ぐっ……ううっ……!」


 もはやこれまでと覚悟した頭目が、己の首に剣を押し当てる――


【 カツミ 】

「おっと――」


 ポン。


【 刺客の頭目 】

「ぐっ……!? あっ……」


 刃が首を掻き切る前に、信じがたい速度で踏み込んできたカツミの拳が、頭目の腹を打っていた。

 ただそれだけで、剣を取り落とし、その場に力なく崩れ落ちる。


【 カツミ 】

「強者に挑むってことは、自分の命すら自由にはできなくなる……そういうことなんだよねぇ」


【 カツミ 】

「――聞いてるんだろ、忍びの坊や。ちゃんと、ご主人様に伝えておきなよ」


【 カツミ 】

「こっちからちょっかいを出す気はないけど、そっちから仕掛けてくるなら、あたしを――あたしたちを相手にすることになる、ってね」


【 カツミ 】

「こっちはいつでもいいぜ? この〈燃拳豪仙ねんけんごうせん〉とやり合いたいっていうならね――」

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