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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
158/421

◆◆◆◆ 6-63 燎氏の変(49) ◆◆◆◆

【 ゼンキョク 】

「より正確にいえば、心臓に該当するような器官の存在は確かめられなかった――と、いうところです」


【 ミズキ 】

「そんなっ……」


【 ゼンキョク 】

「ですが一方で、体内の気の流れのようなものは感じ取れました。どこかにその源があるのもまた、事実ではあるでしょう」


【 ミズキ 】

「……っ? それはつまり……」


【 ゼンキョク 】

「ものは試し――闇雲に打ちまくってみてください」


【 ミズキ 】

「……っ、まったく、人使いの荒い……!」


 文句を言いつつ、ミズキは高々と跳躍すると、


【 ミズキ 】

「はぁあああっ!」


 ――バシュッ! ドシュッ! シュバァッ!!


 あえて的を定めず、四方八方へと空刀を放つ。

 そのうちのひとつが、倒れている刺客の屍に命中したとたん――


【 千眼万笑 】

「ア゛ッ――アアアッ!? クヒイイイッ?」


 これまでどんな攻撃にも無反応だった千眼万笑が、身をくねらせ、そちらに注意を向けた。


【 ミズキ 】

「っ! 今のは――」


【 ゼンキョク 】

「どうやら当たりのようですね――ミズキ殿!」


【 ミズキ 】

「言われずともっ!」


 ――ズバァッ!!


 気合一閃、空刀が屍を両断する。

 と、隠れていた硬質のたまが浮かび上がった。

 本体に心臓がないのも道理、別の場所に隠されていたのである。


【 千眼万笑 】

「アヒィ――イイイッ?」


【 ミズキ 】

「そこ……かッ!」


 続けざまに空刀を放ち、心臓を破壊しようとするミズキだが、おびただしい数の触手が伸び、壁を作って阻止してくる。


【 ミズキ 】

「くっ……このっ……!」


 さしものミズキも限界間近――と思われたとき、


【 千眼万笑 】

「クッ……ヒッ、クヒイイイィィ……!?」


 ふいに千眼万笑の動きが鈍り、触手の守りが緩む。

 その隙、ミズキが逃すはずもなく――


【 ミズキ 】

「――せぇぇいっ!」


 ――バシュッ! パキイッ!!


 左手から放った空刀が触手を切り払い、一瞬遅れて右手から放たれた一撃が、心臓を撃砕する――これすなわち、空刀そらがたな両刃もろはの太刀!


【 千眼万笑 】

「グヒイッ……!? ヒッ、ハッ、ヒィアアアアッ……アハハハハッ……!!」


 断末魔にも似た高笑いとともに、妖魔・千眼万笑の身はあえなくドロドロと溶け崩れていった。


【 ミズキ 】

「……っ、はぁっ、はぁっ……」


【 ゼンキョク 】

「ふぅ……お疲れ様でした、ミズキ殿」


【 ミズキ 】

「はぁっ、ふぅっ……先ほど、動きが鈍ったのは……老師の、仕込みですかっ……?」


【 ゼンキョク 】

「ええ、ものは試しと思って、先ほど触れたときに、気の流れを加速させてみました。折よく、時間切れとなったようですね」


 一時的に高揚した妖魔だったが、ほどなくその揺り戻しがきて、動きが鈍くなった……という次第であった。


【 ミズキ 】

「……! もし、反動がなかったらどうするつもりだったのですっ!?」


【 ゼンキョク 】

「ふふ、そのときは……ミズキ殿がもっと頑張ってくれていたことでしょう」


【 ミズキ 】

「…………」


【 ゼンキョク 】

「だいぶお疲れのようですね。鍼と経穴ツボと、どちらを御所望で?」


【 ミズキ 】

「どちらも遠慮しておきます……!」


 やはりこのひとは苦手だ、と改めて思うミズキであった。


 ともあれこうして……

 裏門における攻防は決着をみたのである。

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