◆◆◆◆ 6-43 燎氏の変(29) ◆◆◆◆
【 刺客の頭目 】
「なんだ……なんだっ……これはっ!?」
【 妖魔 】
「フフフ――」
「フハ、ハハハハ――」
「キャハハハ!!」
全身の口が開き、ケラケラと愉快そうに嗤う妖魔。
【 ミズキ 】
「今すぐ逃げなさい、“それ”は――」
【 刺客の頭目 】
「くっ……お、おのれぇっ……!」
怒りと焦燥の声を上げ、頭目の男が斬りつける。
【 妖魔 】
「ハハ――ハハッ! アハハハッ!!」
――ドカッ!!
【 刺客の頭目 】
「ぐ……はっ!?」
触手の一撃であえなく弾き飛ばされ、地に転がる頭目。
それでも剣で受け止め、致命傷は負わなかったのは、さすがの腕前というべきであろうか。
【 妖魔 】
「フフ……アハハッ!」
「ハハッ……アハァッ……ハハハハッ!!」
【 刺客の頭目 】
「ぐっ……う、うううっ……!」
【 他の刺客 】
「と、頭目っ……!」
【 他の刺客 】
「ひ、ひとまず、下がれっ……!」
怯みつつも、生き残った刺客たちは頭目を抱え、後退していく。
算を乱して逃げ出さないあたり、やはり訓練された一団であるらしい。
だが今は、そんなことに感心している場合ではなかった。
【 ミズキ 】
(あのときのものとは、違う……別の個体っ?)
当時、炬丞相と妖魔の関係については明らかにされなかった。
帝都に戻ってから調べてみてもさっぱりわからず、それは誰かに隠されているというより、ただただ、わからない――というだけのようであった。
【 ミズキ 】
(……このまま引き上げてくれると、助かるのだけど……)
妖魔の習性は、今もってさだかではない。
共通しているのは、心臓を破壊されれば滅びる……というだけのことで、それ以外は個体によってまるで異なるという。
【 妖魔 】
「フフ……ウフフ……フウーッ……」
妖魔が、ズルズルと身を引きずるようにして、ミズキとの距離を詰めてくる。
【 ミズキ 】
「……やはり、そううまくはいかないようね」
その目的はわからないが……どうであれ、この先に行かせるわけにはいかない。
【 ミズキ 】
(やはり、ここで討つしかない……討てる? いや、討たねば!)
かつての妖魔と同様に、心臓を破壊すれば討てるのだろう。
だが、それがどこにあるのか、探すだけでも簡単ではない。
まして、かつては助太刀もあったが……今は、ミズキただひとりである。
【 ミズキ 】
(あれこれ悩むだけ無用――ことごとく切り刻めばそれでよし!)
【 ミズキ 】
「――はっ!!」
気迫とともに、続けざまに空刀を放つ。
――ドシュッ! バシュウッ!!
【 妖魔 】
「オフウ――フウ――フフウウ――」
見えざる刃で切り刻まれ、妖魔は身をよじっている。
だが、苦しんでいるというより、くすぐったがっているようでもあり、効いているのかどうかまるでわからない。
【 ミズキ 】
(関係ないっ……徹底的に刻み尽くすのみ!!)
【 ミズキ 】
「はぁっ――ああああああっ!」
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