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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
137/421

◆◆◆◆ 6-42 燎氏の変(28) ◆◆◆◆

【 刺客の頭目 】

「お、おのれっ……化け物め……!」


 ミズキひとりに次々と配下を討たれ、頭目は呻き声をこぼす。

 気づけば、生き残った手勢は十人を切っていた。


【 他の刺客 】

「頭目っ……いかがなさいます……!?」


 他の者も、動揺の色を隠せずにいる。

 いずれも過酷な鍛錬を重ねてきた手練れ揃いではあるが、これほどの大敵と遭遇するのは初めてのことであった。


【 刺客の頭目 】

「――っ、ここで退けるものかっ……この機を逃せば、我らが世に名を馳せる機会はもはやない……!」


【 他の刺客 】

「し、しかしっ……このままでは……!」


【 刺客の頭目 】

「ただひとりでも突破すれば、それでよい――〈断髄陣だんずいじん〉で仕掛ける!」


【 他の刺客たち 】

「――はっ……!」


 頭目の命令一下、刺客たちが一斉に体勢を整える。

 犠牲をいとわず一気呵成いっきかせいに突破しようという、骨を切らせてずいを断つ、捨て身の陣であった。

 しかし……


【 刺客 】

「…………」


 ひとりだけ、命に従わずに立ち尽くしている者がいた。


【 刺客の頭目 】

「――――っ? どうした、なぜ従わぬ! おくしたか!」


【 刺客 】

「ふ……ふ……」


 頭目の叱責に、その男は小刻みに身を震わせ、


【 刺客 】

「フウウウー……ウウウ……フフフ……」


 奇怪な声を漏らしはじめた。

 戦いの恐怖に、正気を失ったのかもしれない。


【 刺客の頭目 】

「うぬっ……乱心らんしん者めっ! 始末せよ!」


【 他の刺客たち 】

「はっ……!」


 ドスッ! ザシュッ!


 他の刺客たちが、棒立ちの男に斬りかかり、その身を刃で貫く。

 間違いなく、致命傷の一撃であった。

 ――にも、かかわらず。


【 刺客 】

「……フフ……フッフフ……」


【 刺客の頭目 】

「……っ!?」


 男の笑い声は止まらず、いや、それどころか。


【 刺客 】

「フフフ……アハッ……アハハハハ……!!」


 甲高い高笑いを張り上げる。


【 ミズキ 】

「――――っ!」


 その笑声に、ミズキは肌があわ立つのを覚えた。


【 ミズキ 】

「離れなさいっ、“それ”からっ!」


【 他の刺客たち 】

「……っ!?」


【 刺客 】

「アハハ……ハハハハハハッッ!!」


 ――ブシュッ!


【 他の刺客たち 】

「ぎゃっ……ああっ!?」


【 刺客の頭目 】

「な――」


【 ミズキ 】

「…………っ!!」


 ミズキはおののいた。

 全身を刃で貫かれた男の身から幾本もの腕が突き出て、囲んでいた刺客たちの身を深々と貫いていたのだ。


【 刺客だったもの 】

「ハハハハハ……アハハハハ……ハハ! ハハハ!!」


 男の肌が裂け、いくつもの口が浮かび上がり、耳障りな高笑いを上げる。

 その異様な姿を、ミズキは、知っていた。

 視界に入るだけでも怖気が走る、あれは。


【 ミズキ 】

(ここに……現れるとは……!)


 妖魔が、眼前に顕現けんげんしていた――

 *顕現……あきらかに現れる。はっきりと姿を見せるの意。

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