◆◆◆◆ 6-32 燎氏の変(18) ◆◆◆◆
◆◆◆◆ 6-32 燎氏の変(18) ◆◆◆◆
【 ランブ 】
「すまぬ、カズサ殿……!」
【 カズサ 】
「ランブ大姐、遅くなりましたわ――って、て、手ェ!? 左手っ!?」
格好良く名乗ったカズサであったが、片腕となったランブの姿に、思わず声を裏返させている。
【 ランブ 】
「心配は無用――この程度、かすり傷にすぎぬゆえ……!」
と、斧を支えに立ち上がるランブ。
【 カズサ 】
「ええええ!? 絶対、深手でしょう!? う、腕がなくなって……そんなっ、えええっ!?」
【 ランブ 】
「私の腕のことなど、どうでもいい――」
【 カズサ 】
「よくはないでしょう!?」
【 ランブ 】
「この女を、陛下のもとへ行かせるわけにはいかぬ……決して!」
【 カズサ 】
「――――っ」
【 戮仙劔君 】
「なるほどな――そなた、閃・アズマの末裔か! 道理で、速いわけだ。さすがに、かの者ほどではないがな」
【 カズサ 】
「はぁ~? ちょっとあなた!? ご先祖のことを気安く呼ばないでちょうだい! 大姐、なんなんですかこの女はっ!?」
【 ランブ 】
「わからぬ……が、戮仙劔君――と称している」
【 カズサ 】
「戮仙劔君!? そんなはずは――いえ、でも、大姐をここまで追い込むからにはっ……?」
【 戮仙劔君 】
「ふふ、今宵は実にいい夜だ! またしても強者に出会えるとはな。まさに僥倖――」
*僥倖……思いがけず得た幸運の意。
【 カズサ 】
「緋閃――」
【 戮仙劔君 】
「――――っ!」
【 カズサ 】
「――十文字斬りッッ!!」
戮仙劔君に皆まで言わせず、カズサが左右の剣を振るって斬りつけていく。
二振りの太刀が閃光のごとく走り、続けざまに女の肢体へと殺到する。
【 戮仙劔君 】
「ほほう――速い――なっ!」
【 カズサ 】
「この――ちょこまか――とっ!」
目にも止まらぬカズサの斬撃を、女は紙一重で回避している。
【 戮仙劔君 】
「大したものよな――さて」
【 カズサ 】
「…………っ!」
戮仙劔君が、いつの間にか背に戻った長太刀へと手を伸ばしたのを見て、カズサは一瞬にして飛びのき、距離を取る。
【 戮仙劔君 】
「おお、よく退いたな? あのままであれば、その首、とうに飛んでいるぞ」
【 カズサ 】
「こ、この女っ……尋常ではないわねっ……!」
【 ランブ 】
「カズサ殿……!」
【 カズサ 】
「ええ、わかっていますわ、大姐!」
ランブとカズサがそろって身構え、戮仙劔君と対峙する。
【 戮仙劔君 】
「ほう、二人がかりか? それもよい! これぞ、実戦の醍醐味というものよな――」
【 ランブ 】
「――ゆくぞッ!!」
【 カズサ 】
「ええッ!!」
【 ランブ 】
(必ず、ここで――)
【 カズサ 】
(――止めてみせる!)
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