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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
127/421

◆◆◆◆ 6-32 燎氏の変(18) ◆◆◆◆

◆◆◆◆ 6-32 燎氏の変(18) ◆◆◆◆



【 ランブ 】

「すまぬ、カズサ殿……!」


【 カズサ 】

「ランブ大姐おねえさま、遅くなりましたわ――って、て、手ェ!? 左手っ!?」


 格好良く名乗ったカズサであったが、片腕となったランブの姿に、思わず声を裏返させている。


【 ランブ 】

「心配は無用――この程度、かすり傷にすぎぬゆえ……!」


 と、斧を支えに立ち上がるランブ。


【 カズサ 】

「ええええ!? 絶対、深手でしょう!? う、腕がなくなって……そんなっ、えええっ!?」


【 ランブ 】

「私の腕のことなど、どうでもいい――」


【 カズサ 】

「よくはないでしょう!?」


【 ランブ 】

「この女を、陛下のもとへ行かせるわけにはいかぬ……決して!」


【 カズサ 】

「――――っ」


【 戮仙劔君 】

「なるほどな――そなた、セン・アズマの末裔か! 道理で、速いわけだ。さすがに、かの者ほどではないがな」


【 カズサ 】

「はぁ~? ちょっとあなた!? ご先祖のことを気安く呼ばないでちょうだい! 大姐おねえさま、なんなんですかこの女はっ!?」


【 ランブ 】

「わからぬ……が、戮仙劔君りくせんけんくん――と称している」


【 カズサ 】

「戮仙劔君!? そんなはずは――いえ、でも、大姐おねえさまをここまで追い込むからにはっ……?」


【 戮仙劔君 】

「ふふ、今宵は実にいい夜だ! またしても強者に出会えるとはな。まさに僥倖ぎょうこう――」

 *僥倖……思いがけず得た幸運の意。


【 カズサ 】

「緋閃――」


【 戮仙劔君 】

「――――っ!」


【 カズサ 】

「――十文字斬りッッ!!」


 戮仙劔君に皆まで言わせず、カズサが左右の剣を振るって斬りつけていく。

 二振りの太刀が閃光のごとく走り、続けざまに女の肢体へと殺到する。


【 戮仙劔君 】

「ほほう――速い――なっ!」


【 カズサ 】

「この――ちょこまか――とっ!」


 目にも止まらぬカズサの斬撃を、女は紙一重で回避している。


【 戮仙劔君 】

「大したものよな――さて」


【 カズサ 】

「…………っ!」


 戮仙劔君が、いつの間にか背に戻った長太刀へと手を伸ばしたのを見て、カズサは一瞬にして飛びのき、距離を取る。


【 戮仙劔君 】

「おお、よく退いたな? あのままであれば、その首、とうに飛んでいるぞ」


【 カズサ 】

「こ、この女っ……尋常ではないわねっ……!」


【 ランブ 】

「カズサ殿……!」


【 カズサ 】

「ええ、わかっていますわ、大姐おねえさま!」


 ランブとカズサがそろって身構え、戮仙劔君と対峙する。


【 戮仙劔君 】

「ほう、二人がかりか? それもよい! これぞ、実戦の醍醐だいご味というものよな――」


【 ランブ 】

「――ゆくぞッ!!」


【 カズサ 】

「ええッ!!」


【 ランブ 】

(必ず、ここで――)


【 カズサ 】

(――止めてみせる!)

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