◆◆◆◆ 6-31 燎氏の変(17) ◆◆◆◆
ただでさえ色濃かった“死”の気配が、肌で感じられるほど強烈なものになる。
そんな彼女を鼓舞するかのように、ヨスガの奏でる調べが耳に届く。
【 ランブ 】
(陛下――どうやら私は、ここまでのようです)
【 ランブ 】
(願わくば、あなたの国創りを、この目で見届けかった……しかし、それはもはや――かないますまい)
【 ランブ 】
(どうか、ご健勝で……!!)
【 ランブ 】
「凪・ランブ、参るッ! おおおおおおおッ!!」
気合と共に、斧を抱えたランブが突き進む。
【 戮仙劔君 】
「くるか……!」
戮仙劔君が、長剣を振りかぶる。
おそらくその一太刀は、ランブを容赦なく仕留めるであろう。
【 ランブ 】
(それはいい――そこからだ!)
たとえ真っ二つに両断されようとも、この一撃は、必ずや命中させてみせる。
【 ランブ 】
(相打ちなどと贅沢はいわぬ――せめて、腕一本でも!)
【 ランブ 】
「おおおおおッ……!」
尋常ならざる覚悟をもって、文字通りすべてを賭したランブの一撃が、剣士に迫る――
【 戮仙劔君 】
「おお、その覚悟、見届けたり! ならば受けよ、我が秘太刀!」
戮仙劔君の神速の太刀が、ランブ目がけて放たれる――
【 ランブ 】
(――――陛下ッ!!)
【 ヨスガ 】
「…………」
【 侍衛 】
「どうされました、陛下?」
【 ヨスガ 】
「いや、なんでもない。ランブが我を呼んだような気がしてな」
【 侍衛 】
「! も、もしや、ランブ様の身になにか……」
【 ヨスガ 】
「ふん、たわけたことを申すな」
侍衛の不安を、ヨスガは鼻で笑い飛ばした。
【 ヨスガ 】
「ランブが、こんなところで死ぬはずがなかろう。なにせ――」
【 ヨスガ 】
「――あやつの命は、我が預かっているのだからな」
【 ランブ 】
「――ぐうっ!?」
体勢を崩し、地面を転がるランブ。
その首は――まだ、落ちてはいない。
【 戮仙劔君 】
「なんと――」
背後へと飛びすさった戮仙劔君が、はじめてやや狼狽した声を漏らす。
そう、致命的な一撃となるはずだった戮仙劔君の剣がランブに届く寸前、何者かの斬撃がそれを弾いていたのである。
【 戮仙劔君 】
「このオレの太刀に割って入ったか……! 何者ぞ!」
その視線の先に立つのは――
【 ???? 】
「――おーっほっほっほっ!!」
得意げな高笑いが、宵闇にこだまする。
その声の主は、二振りの剣を構えた娘。
【 ランブ 】
「……ッ! 貴公、は……」
【 高飛車そうな娘 】
「そんなに知りたければ、教えてあげるわ! 我が名は閃・カズサ、人呼んで緋閃剣! かの〈緋翔閃女〉様の末裔にして――」
【 カズサ 】
「――陛下の、無二の忠臣よっ!」
〈緋閃剣〉閃・カズサ、増えた肩書きとともにここに参戦!
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