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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
126/421

◆◆◆◆ 6-31 燎氏の変(17) ◆◆◆◆

 ただでさえ色濃かった“死”の気配が、肌で感じられるほど強烈なものになる。

 そんな彼女を鼓舞するかのように、ヨスガの奏でる調べが耳に届く。


【 ランブ 】

(陛下――どうやら私は、ここまでのようです)


【 ランブ 】

(願わくば、あなたの国創りを、この目で見届けかった……しかし、それはもはや――かないますまい)


【 ランブ 】

(どうか、ご健勝で……!!)


【 ランブ 】

ナギ・ランブ、参るッ! おおおおおおおッ!!」


 気合と共に、斧を抱えたランブが突き進む。


【 戮仙劔君 】

「くるか……!」


 戮仙劔君が、長剣を振りかぶる。

 おそらくその一太刀は、ランブを容赦なく仕留めるであろう。


【 ランブ 】

(それはいい――そこからだ!)


 たとえ真っ二つに両断されようとも、この一撃は、必ずや命中させてみせる。


【 ランブ 】

(相打ちなどと贅沢はいわぬ――せめて、腕一本でも!)


【 ランブ 】

「おおおおおッ……!」


 尋常ならざる覚悟をもって、文字通りすべてを賭したランブの一撃が、剣士に迫る――


【 戮仙劔君 】

「おお、その覚悟、見届けたり! ならば受けよ、我が秘太刀ひだち!」


 戮仙劔君の神速の太刀が、ランブ目がけて放たれる――


【 ランブ 】

(――――陛下ッ!!)




【 ヨスガ 】

「…………」


【 侍衛 】

「どうされました、陛下?」


【 ヨスガ 】

「いや、なんでもない。ランブが我を呼んだような気がしてな」


【 侍衛 】

「! も、もしや、ランブ様の身になにか……」


【 ヨスガ 】

「ふん、たわけたことを申すな」


 侍衛の不安を、ヨスガは鼻で笑い飛ばした。


【 ヨスガ 】

「ランブが、こんなところで死ぬはずがなかろう。なにせ――」


【 ヨスガ 】

「――あやつの命は、我が預かっているのだからな」




【 ランブ 】

「――ぐうっ!?」


 体勢を崩し、地面を転がるランブ。

 その首は――まだ、落ちてはいない。


【 戮仙劔君 】

「なんと――」


 背後へと飛びすさった戮仙劔君が、はじめてやや狼狽した声を漏らす。

 そう、致命的な一撃となるはずだった戮仙劔君の剣がランブに届く寸前、何者かの斬撃がそれを弾いていたのである。


【 戮仙劔君 】

「このオレの太刀に割って入ったか……! 何者ぞ!」


 その視線の先に立つのは――


【 ???? 】

「――おーっほっほっほっ!!」


 得意げな高笑いが、宵闇にこだまする。

 その声の主は、二振りの剣を構えた娘。


【 ランブ 】

「……ッ! 貴公、は……」


【 高飛車そうな娘 】

「そんなに知りたければ、教えてあげるわ! 我が名はセン・カズサ、人呼んで緋閃剣ひせんけん! かの〈緋翔閃女ひしょうせんにょ〉様の末裔にして――」


【 カズサ 】

「――陛下の、無二の忠臣よっ!」


 〈緋閃剣〉セン・カズサ、増えた肩書きとともにここに参戦!

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