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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
119/421

◆◆◆◆ 6-24 燎氏の変(10) ◆◆◆◆

【 黒衣の刺客 】

「頭目、あれを!」


【 刺客の頭目 】

「む――」


 極龍殿の正門へ参集した黒衣の刺客たちは、きざはしの上に待つ巨躯を見上げた。

 *階……階段。


 両手に巨大な斧を構えた姿は威圧的ではあるものの、


【 刺客の頭目 】

「なんだ、たった一人だと?」


【 他の刺客 】

「他に、伏兵がいるのでは?」


【 刺客の頭目 】

「時が惜しい、このまま一気に突入して“宝”を獲る! 地に落ちた我らが武名、今こそ再興の時と知れい!」


【 他の刺客 】

「はっ……!」


 首領格の指示に従い、侵入者たちは白刃を手に、一斉に門へと駆け上がっていく。


【 刺客たち 】

「死ねッ……!」


 正面と左右から囲い込むように接近した刺客たちのあまたの凶刃が、巨体に迫る――


【 ランブ 】

「――ぬぅんッ!」


 バシュウウッ!!


【 刺客たち 】

「ぎゃっ……!?」


 気迫と共に繰り出されたすさまじい横薙ぎの一閃で、あっけなく両断され、血しぶきを上げながら転がり落ちていく刺客たち。


【 刺客の頭目 】

「な――なんだと!? 我らが必殺の陣がっ……」


 一太刀で十人近くが物言わぬ肉塊と化し、刺客たちは戦慄する。


【 ランブ 】

「ここを通りたいならば――」


 冷たい声音が、上から降ってくる。


【 ランブ 】

「――私を、討ってみせるがいい」


【 刺客の頭目 】

「ぬうっ……!」


【 他の刺客 】

「と、頭目っ……」


【 刺客の頭目 】

「――ここは下がる。裏手に回るのだ!」


【 他の刺客 】

「はっ……!」


 刺客たちはたちまちきびすを返し、正門から速やかに退いていった。




【 ランブ 】

(撤退したか……いや、他の入り口を目指すつもりだろう)


【 ランブ 】

(強行突破は犠牲が大きいと判断し、無理押ししてこないあたり、決して烏合の衆ではない。むしろ、よく統率の取れた集団とみえる)


【 ランブ 】

(裏門には彼女がいる……心配はあるまい)


【 ランブ 】

(どうあれ、今はまだ動けぬ……敵は、きゃつらだけではないのだから)


【 ランブ 】

「! きたか――」


 階下に妖しげな影が浮き上がり、黙々と接近してくる。

 それは、先ほどの刺客たちとはまるで違う、新手であった。


【 ランブ 】

「誰であろうと……断じてここを通しはせぬ」


【 ランブ 】

(そう、すべては――我が主のために!)


 ランブの脳裏に、かつてかけられた言葉がよみがえる。



【 ???? 】

『そなた、死にたがっておるようだな』


【 ???? 】

『――その願い、かなえてやろうか?』

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