◆◆◆◆ 6-20 燎氏の変(6) ◆◆◆◆
【 ???? 】
「――ホノカナちゃんっ!」
【 ホノカナ 】
「……はっ!?」
耳元で大声を出されて、ホノカナは飛び起きた。
そこは、いつも寝泊まりしている女官たちの大部屋で。
【 シキ 】
「やっと起きた……! 大変なの! みやこ中が燃えてて……!」
【 ホノカナ 】
「……ふぇっ!?」
冷や水をかけられたように、たちまち意識が鮮明になる。
なにか夢を見ていたような気もするが、頭からすっとんでしまった。
【 ホノカナ 】
「ど、どういうこと……!?」
【 シキ 】
「わからないよ……でも、女官は宿舎から出るなって……」
他の女官たちも身を寄せ合い、恐怖におののいている。
【 ホノカナ 】
(なにかが起きるのは、明日の夜のはずじゃ……!?)
今夜はミズキから呼ばれることもなかったので、早々に床についたのだけれど……
【 ホノカナ 】
(とにかく、ヨスガ姉さまたちのところへ行かないと……!)
ホノカナはそそくさと身支度を整える。
【 シキ 】
「……っ? ホノカナちゃん、なにしてるの?」
シキが怪訝そうに見てくる。
【 ホノカナ 】
「あ――ええと、これはその――」
これから陛下のもとに……とは言えず、口ごもってしまう。
【 ホノカナ 】
「そ、その、なにかあったら来るように言われてて、女官長さまに!」
【 シキ 】
「ええっ? でも、こんなときだし……」
【 ホノカナ 】
(ど、どうしようっ……)
ここはもう、強行突破するしかない。
【 ホノカナ 】
「……あっ!」
と、ホノカナが明かりを指差す。
【 シキ 】
「――えっ?」
と同時に蝋燭の火がフッと消え、室内は闇に閉ざされた。
【 女官たち 】
「――きゃああっ!?」
混乱するなか、ホノカナは単身、部屋を抜け出していった――
【 ホノカナ 】
「……はぁっ、はぁっ……」
どうにか宿舎を出たホノカナ。
すでに、この時間ではありえないほど、内廷は騒然とした空気に包まれていた。
あちこちで怒号が響き、悲鳴も聞こえてくる。
【 ホノカナ 】
(もう、始まってるんだっ……)
思わず身がすくんでしまうが、
【 ホノカナ 】
(……でも、ヨスガ姉さまが、待ってる)
【 ホノカナ 】
(あの方は、わたしがいないと……ダメなんだから!)
己を鼓舞するように、言い聞かせる。
これから向かうべきは、宮城の西端にある〈極龍殿〉。
ふだんヨスガらと集まっているミズキの部屋は、隣の〈青雲殿〉にあるのだが、
【 ホノカナ 】
(有事の際は、極龍殿に集まるように言われてたし……きっと!)
なんでも、あそこが一番守りに向いているらしい。
ホノカナがいざ駆け出そうとした刹那、
【 ???? 】
「ホノカナちゃん……!」
【 ホノカナ 】
「――――っ!?」
ふいに手を取られた。
【 ホノカナ 】
「し、シキちゃん!? どうしてっ……」
【 シキ 】
「はぁっ、はぁあっ、やっぱり、ダメだよ……! 危ないよ……!」
【 ホノカナ 】
「……っ、でも、わたし――」
なんとか振り払って……と思った、そのとき。
【 ???? 】
「――――っ」
【 ホノカナ 】
「……っ!?」
突然、眼前に人影が浮き上がった。
その手に握られているのは――紅く染まった剣。
【 シキ 】
「ひっ……!?」
【 ホノカナ 】
「シキちゃん、逃げてっ……!」
【 黒ずくめの男 】
「――――っ」
――ザシュッ!!
【 ホノカナ 】
「…………っ!」
鈍い音と共に、鮮血がほとばしった――
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