表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
107/421

◆◆◆◆ 6-12 救神の手 ◆◆◆◆

【 カズサ 】

「くううっ……わたしがあなたの立場だったらっ、もっともっと陛下に甘え……いえ、お力になってみせるのにぃ!」


 地団駄を踏んで悔しがるカズサ。


【 ホノカナ 】

「な、なんだか、すみません……」


 理不尽なことには違いないものの、そんな気分になっていた。


【 カズサ 】

「~~っ、い、いい加減にしなさいっ! わたしはもう帰るわっ! 失礼します、大姐おねえさまっ!」


 カズサはミズキに一礼すると、そのまま足早に酒場を出ていってしまった。


【 晏老師 】

「まったく……言いたいことだけ言って出ていきましたね」


【 霹靂匠 】

「クク……歩く爆弾のごとし……」


【 ホノカナ 】

「あの~……放っておいていいんですか?」


 自分が原因ではあるだけに、そわそわしてしまうホノカナ。


【 ミズキ 】

「放っておくのが優しさ、という場合もあります」


【 ホノカナ 】

「は、はぁ……」


【 ミズキ 】

「さて……私たちも、そろそろお暇しましょうか」


【 晏老師 】

「そうですね。ゆっくり酒盃を傾けるのは、万事、終わってからにしましょう」


 そう言いつつ、おもむろに左右の手袋を脱ぐ晏老師。

 傷を隠しているのかと思いきや、見た目は普通のようだけど……とホノカナが思っていると。


【 晏老師 】

「失礼――」


【 ホノカナ 】

「…………っ!?」


 ふいに、晏老師がホノカナの手を取った。

 その右のてのひらの熱さに、思わず驚いてしまう。


【 晏老師 】

「ふむ……あまり眠れていないようですね。それに、食も細くなっているようで……それから、背中に張りがありますね」


【 ホノカナ 】

「えっ……!?」


 手を握ったまま、わずかに動かすだけであれこれ言い当てられ、ホノカナは驚嘆する。


【 ホノカナ 】

「ど、どうして、そこまでわかるんですかっ?」


【 晏老師 】

「いささか、医術の心得がありますので……ふむ……これなら……これで――」


【 ホノカナ 】

「……ひゃっ!?」


 妙な声が出てしまったのは、彼女が伸ばしてきた左手が、恐ろしく冷たかったからである。


【 ホノカナ 】

(左右の手の熱さが、こんなに違うことなんてあるの……!?)


【 晏老師 】

「……いかがです?」


【 ホノカナ 】

「えっ? あっ……!?」


 先ほどまであった身体の張りが、嘘のように消えていた。


【 ホノカナ 】

「す、すごいっ……鍼もお灸も使ってないのにっ!」


【 晏老師 】

「なに、たいしたことではありません。少し、経穴ツボを押しただけですから」


 と、穏やかに微笑んでみせる。


【 ミズキ 】

「衰えてはいませんね、晏老師」


【 晏老師 】

「幸いにも……というか、身の回りに怪我人も病人も絶えませんので」


【 晏老師 】

「とはいえ……所詮、この手で癒したり、救うことができる人々など、ほんの一握り――」


 その端正な顔にかげが差す。


【 晏老師 】

「国を癒し、万民を救えるのは、我らが陛下のごとき御方のみ。この〈アン・ゼンキョク〉、そのために尽力する所存……」


【 ホノカナ 】

「……っ、あ、あのぉ~……」


 いい話のさなか、ホノカナが遠慮がちに声を上げる。


【 ゼンキョク 】

「おや……どうしました?」


【 ホノカナ 】

「も、もう、大丈夫なので、手を……んんっ……!?」


【 ゼンキョク 】

「ふふ……貴方の反応は、実に――面白い」


【 ホノカナ 】

「~~~~~~っ!?」


 肌をスリスリと撫でさすられ、思わず身体がこわばってしまう。


【 ゼンキョク 】

「ふぅむ……この経穴、常人よりも……ほほう……なかなか……」


【 ホノカナ 】

「いたっ!? いたたたぁっ!?」


【 ゼンキョク 】

「ならばここは――?」


【 ホノカナ 】

「きゃうんっ!? そ、それっ、なんだか……ふわわぁっ!?」


【 ゼンキョク 】

「ふふ……ふふふっ……」


【 ミズキ 】

「やれやれ……」


【 ホノカナ 】

(ちゃんとした人だと思ったけど、この人もやっぱり変~~っ!?)


 しばし、ホノカナの悶絶する声が響いたのだった……

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ