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軍師は何でも知っている  作者: タンバ
第一部 内乱編
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第三章 決着3

 黒い閃光が王城の門へと続く一本道を疾駆する。

 運悪く一本道に居て、しかも妨害しようとした兵はすれ違い様に斬られて、ほぼ即死だ。多少生きていても、四分の三くらいは死んでいる。つまりすぐに死ぬ。

 後ろを走る俺は、その早業に顔を引きつらせ、同時に全速力で走っているせいで、鈍痛と言う名の悲鳴をあげ始めた右横腹に手を当てる。

 ここは戦場だ。そして俺は弱い。だから開いた道をすぐに通らなければ危険なのだが、先導者が早すぎて道が開いてもすぐ閉じるのだ。

 荒い息を吐きながら、何とか進む俺に向かって、矢が飛んでくる。

 元から避ける技量を持ち合わせていない上に、今は疲れている。避ける要素は皆無だ。避けるならだが。

 避ける必要が無い事を俺は知っている。ここに来るまで計三度。俺は命の危機に瀕し。

 三度助けられている。

 矢は俺に当たる前に両断される。そして、矢を放った狙撃手は雷撃によって吹き飛ばされてしまう。


「離れるな、遅れるなと何度も言った筈だが?」

「はぁはぁ……その度に善処しますと答え、俺は全力を尽くしてます……」

「ふむ、いささか速すぎたか? これでも軽く走ったつもりなのだが」

「……もっとゆっくりお願いします。この繰り返しでは時間の無駄です。それが無理ならお一人でお早く」


 俺の言葉にディオ様とよく似た柔らかい笑顔を浮かべて。


「それはできん相談だ。そなたは私を救ってくれた。カグヤ・ハルベルトの名に掛けて、そなたを守って見せよう。ユキト」


 カグヤ様はそう言った。

 言われた言葉は感激ものだが、そう思っているなら少しはこっちの身になって欲しい。正直、そろそろ危険が迫っても大丈夫だと思ってしまう自分が居て、怖い。

 なにせ魔術が来ようと叩き斬り、矢が来ようと叩き斬り、人が襲ってこようが叩き斬るの繰り返しだ。最強のボディガードなのは間違いないが、こちらがピンチにならなければ見てもくれないのは心臓に悪い。


「本来のお力で戦えるなら、ここに敵はいらっしゃらないでしょう。早く行くべきかと」

「戦は武力だけでは決まらない。直接戦うなら私は父に勝てるだろうが、あの父が私と正面からぶつかる筈がない。そして私は父に負けるだろう。私を負かす策を父は必ず用意しているからだ」

「では何故行くんです?」

「弟が待っている。それに勝算もある。それがそなただ、ユキト。父はそなたを警戒などしていないから、精一杯動け」

「それも善処します……。できれば一人でカタをつけてください」

「抱きしめた女に一人で戦わせる男と言うのは、些か情けないぞ?」


 悪戯めいた笑みを浮かべるカグヤ様は、そう言って俺にからかいの言葉を投げてくる。

 反応しては思う壺だし、何より脇腹がまだ痛いから、心の中であれは仕方がなかったと弁明を続ける。決して二心があった訳じゃない。純粋に心配だったからだ。別に体の感触とかは覚えてなんかいない。


「……非礼は謝罪します」

「よい。あれはあれで助かった。本当にな……しかし、あやつらは遅すぎるとは思わないか?」

「鎧を着て全速力で走るだなんて、苦行以外の何物でもありませんよ……。まだ時間が掛かるかと」

「ふむ、ではもう少し先に行こう」


 ここでは私の怒りを受け止める相手が居ない。

 そんな事をさらっと言って、カグヤ様はしゃがんでいる俺の腕を無理矢理引っ張って立たせる。


「行くぞ、ユキト! 遅れるな!」

「……善処します……」


 多重人格者に会った時とか、猫かぶりが異常に上手い女の子に会った時か、そう言う時って、今の俺のような気分な気がする。

 なんだろうか。狸に化かされたとは、こんな感じの時に使うべきか。

 でも、これが本来のカグヤ様なんだろう。

 あの時から元に戻ったのだ。




■■■




 ハルパー城の一室で、何かが割る音がした。実際には何か割れた訳じゃない。恐らく、カグヤ様を縛っていた不可視の鎖が切れた音だ。

 心に広がるのは安堵。視線に映るのはカグヤ様の足。そこからゆっくり顔を上げれば、悲しみ、怒り、驚き、嫌悪などおよそ考えうる限りの負の感情を綯交ぜにした表情を浮かべたカグヤ様が居た。けれど、目はしっかりと定まっている。

 そして俺と目があったカグヤ様は一言呟いた。


「……恩に着るぞ」


 言った瞬間。

 一閃。

 そう形容するのがピッタリな動きで、カグヤ様は俺から受け取った扇をストラトスのフードの中、おそらく喉に叩き込んだ。


「ぐぇ!?」


 潰された蛙のような声を出し、ストラトスは痛みに悶える。

 勢いでフードが取れ、茶色の髪が見え、更に丸く太った男の顔が現れる。年は俺よりは少し上くらいだろうか。喉の痛みに悶えつつ、必死にカグヤ様を睨みつけている。無駄な事だ。その人はもう。

 お前の術中ではない。


「……これほど……怒りを感じた事はない……」


 何故。と言う表情を、ストラトスは浮かべている。状況が分かっていないのだ。

 ストラトスの喉を使えなくしたのは、誰かを呼ばれる事を危惧したからだろう。カグヤ様はともかく、俺は一瞬でやられてしまう。さすがの状況判断だ。一手で救われた。


「あっ、あぐやざま……」

「貴様への怒りではない……自分への怒りだ……」


 ストラトスは短い言葉に魔力を込めているが、カグヤ様は扇を持っている。すでにストラトスの魔術は効きはしない。

 ゆらりゆらりとストラトスに近づくカグヤ様は正直、幽鬼や怨霊とか、そこらへんに近いモノに見えた。後ずさるストラトスの気持ちが痛いほどわかる。一切の同情は湧いてこないが。


「己の未熟のせいで……要らぬ犠牲と混乱を招いた……本来ならここで自ら命を絶つべき罪だが……その前に」


 貴様が私の怒りを受け止めろ。

 強い言葉ではなかった。その分、恐ろしさは数十倍だ。

 恐怖に顔を歪めたストラトスは、背を向けて走り出した。それを気にも止めず、腰の刀を引き抜いたカグヤ様は。

 一瞬でストラトスに肉薄し、背中を斬った。

 速すぎて、いつ近づいたのか分からなかった。人体の大きさを考えれば、どれだけ速く動こうが、動いた事くらいはわかりそうだが、気づいたらストラトスに近づいていた。

 縮地。そんな言葉が頭に過る。

【縮地。あるいは縮地法、縮地術。距離を縮めることで長距離を瞬時に移動する技能、または仙術。仙術の縮地は千里先までも目の前のように移動する瞬間移動のようなもので、技能としての縮地は通常よりも短い歩幅で近寄る武道の技術】

 画面に出た情報を笑えないのは、今、似たような現象を見たせいか。

 流石に千里、つまり五百キロ先までは移動できないだろうが、十歩以上離れたストラトスに一気に近づくのは技法と言うよりは仙術に近い。

 魔術があるのだから仙術もありそうだが、この場合は魔術の応用と考えるべきか。まぁどうであれ、簡単にはできない芸当だと言うのは間違いないだろう。


「うぅぅ……」


 背中を斬られ、呻くストラトスだが、すぐに走り出した。大したものだ。二度もカグヤ様に背中を向けて逃げるだなんて、そんな馬鹿な事は俺だったらできない。近づかれるのを分かっていて。

 そこまで考えて、俺はストラトスの逃げる先がバルコニーだと気づく。飛び降りる気だろうか。それとも他に何か考えているのだろうか。

 なんにせよ。


「カグヤ様! お気を付けを!!」


 一切、警戒せずに悠然と近づくカグヤ様にそう俺が言った後、ストラトスは悪意の篭った、思わず戦慄してしまう笑顔を浮かべた。


「……もっと色々やらせるべきだったかなぁ……カグヤちゃんには」

「死ね」


 近寄ったカグヤ様がストラトスの首を撥ねる。

 瞬間。ストラトスの体が光を放ち始め、爆ぜた。

 爆風に目を開けていられない。俺は体を後ろに押される。肩膝をついてそれに耐え、顔を両腕で覆う。

 爆風が止んだ後、そこに残っていたのは崩壊したバルコニーと焦げた壁だけだった。


「カグヤ様!?」

「ここにいる」


 横から聞こえた声に、俺は振り向き、顔を引きつらせる。傷どころか、服すら汚れていない。あの爆発をどうやって切り抜けたのやら。


「ご無事で何よりです」

「……生き恥と言うものだな……」


 刀を強く握り締め、唇を噛み締めるカグヤ様はそう言った後、力なく刀を落とす。そしてゆっくり膝を床につける。

 このまま倒れるのではないかと思った俺は受け止めようと動く。

 そして俺の腕の中にカグヤ様はゆっくり倒れ込んできた。先ほどまで刀を振り、神速の移動を見せた人物とは思えないほど、柔らかい体に俺は驚く。

 ちょうど俺の胸に額を当てる状態で、カグヤ様は止まる。綺麗なうなじが見えるが、状況が状況なのでときめいてもいられない。


「……私は……とんでもない過ちを犯した……」

「確かにその通りです。あなたは良い様に操られ、ディオ様と敵対し、国を二分する内乱を激化させました」

「……」

「ですけど、あなただけが悪い訳じゃない。一番はストラトスでしょうし、二番目は現国王でしょう。そのほかにも操られたあなたにただ従ってしまったアンナ、止めきれず、あなたを盲信し、大義の無い戦いに望んだ全ての臣下、それに……あなたが操られている事にストラトスが来るまで気付かなかった俺も罪があると言えばあるでしょう。酷なようですが、悔やんでも仕方ありません」

「……私はどうすればいい……?」

「全ての民が、全ての兵が、ヴェリスが、あなたに望んだ事は一つです。もしもあなたに最大の罪があるとするなら、それを為すことを少しためらった事です。だから付け入る隙を与えてしまった。それでもと、思うのならお立ちください。しかし、もう体を起こすだけの意思が湧いてこないならばここに居てください。俺は俺がすべきことをしに行きます。できれば……あなたと共に行きたいですが」


 そう言った後、カグヤ様は少し強く俺の胸に額を当てた後、その反動で顔を起こし、すぐに立ち上がる。


「もう……恥の上塗りはしまい。私は行くぞ。父を討ちに!」

「では、お供しましょう」


 そう言って、俺はカグヤ様に頭を垂れる。ようやく戻ってきたのだ。ヴェリスが待ち望んだ人が。ディオ様が助けようと願った人が。


「しかし、その前にまずはここの後始末か。アンナにも謝らねば。いや、ベイドにもか。城に閉じ込めてしまった」

「最後の側近の方ですね。今回の軍には参加していらっしゃらなかったのですか?」


 一万の軍がずっと過不足なく機能しているから、てっきり裏方役の人は来ているものだと思ったけれど。


「私が城に閉じ込めたからな……。ディオと戦う事に反対したベイドを」

「なるほど。それは謝罪が必要ですね」


 カグヤ様の陣営は陣営で色々あるらしい。まぁカグヤ様の様子を見れば、何もない方が怖いけれど。

 どうやって謝るべきかについて頭を悩ますカグヤ様に苦笑しつつ、俺は誰がカグヤ様を操っていたかについて考える。もちろん、実際に、操っていたのはストラトスだろう。だが、カグヤ様の行動はストラトスに余りにも利がない。

 カグヤ様の傍に居るのはいい。だが、カグヤ様を使って戦をする理由が見当たらない。

 そんな事をしてもカグヤ様の軍が消耗し、衰えるだけだ。何より、積極的に戦をしようとする男とは思えない。

 誰かの指示で動いていると思った方が自然だろう。では、そいつは誰なのか。

 カグヤ様とディオ様が争って得する人物。カグヤ様に勝って欲しいと思っていた人物。

 考えるまでもない。

 現ヴェリス国王。ブレイグ・ハルベルトだ。

 ディオ様がずっと敵視していた理由はわかった。目を離せばどんな手を打ってくるかわからないからだ。誰よりも警戒すべきだから、ずっと警戒し続けたのだ。

 それにディオ様はカグヤ様が出てくる事を予想していた。なぜわかったのかは実際のところはどうだが分からないけれど、カグヤ様の様子がおかしいのは気づいていたんだろう。

 余命の話はおそらくディオ様自身から聞いたのだろう。そこでディオ様はカグヤ様がおかしいことに気付き、挙兵した。最初に話し合いをして、話が通じなかったから挙兵。その手順なら何らおかしくはない。なぜ、挙兵したのかと聞いた時、ディオ様が怒り気味だったのは、既にカグヤ様に手を伸ばしているのを知っていたからか。

 ともかくここで


「カグヤ様。お伝えしなくてはならないことがあります」

「ディオ様は現在、二千の軍勢を率いて王城に向かっています。そろそろ戦いが始まっていてもおかしくはありますまい」

「ふふ、ディオらしい作戦だな。だが、ディオだけでは勝てまい。私も行く。ユキト。もちろんそなたもだ」

「御意」


 それからすぐに準備をして、俺たちは王都へ出発した。神速の動きを見せるカグヤ様の騎馬隊でも指折りの馬乗りたちが本気で走り、俺はそれに半ば引っ張られる形で、馬を走らせる。

 そして一日足らずで王都へたどり着いた。

 無茶な強行軍だったが、おかげ間に合った。

 王都はディオ様の軍により攻められており、その流れに乗って、俺たちも王城に乗り込む事を想定し、徒歩で王都に乗り込んだ。




■■■




 王城の近くではディオ様の軍と近衛隊が激しくぶつかり合っていた。

 王城の門を死守しようとする近衛隊と、突破しようとするディオ様の軍。だが、ディオ様の軍には多くの平民と思われる人たちが混ざっていた。


「義勇兵ですか?」

「父は嫌われているからな。今となっては私も似たようなものだろうが……」

「大丈夫です。あなたの行動には理由があると皆が思っています。例えば隙を伺っていたとか、そんな単純な事で良いんです。あなたが民の味方なのだとわかれば、落ちた評判も一夜で元通りです」


 少し遠巻きから見ながら、俺はカグヤ様にそう助言する。一夜と言うのは勿論、今の事だ。この戦いにディオ様側として加われば、大多数はカグヤ様への評価を改めるだろう。それくらいカグヤ様の人気は高い。国王派に付きながら、それでも慕う民が後を絶たないほどに。


「そうか……。このまま正面から行こうと思うが、どうだ?」

「そうですね。では一つ助言を。できるだけ派手にした方がいいでしょう」

「派手……か。ではユキト。ディオの兵たちを門から離れさせろ。できれば急いでな」


 そう言うとカグヤ様は何だか目を瞑って集中し始めた。

 直感で分かった。ヤバイ。そしてステータスで分かった。超絶に拙いと。

 百台の魔力が急激に減少を始めている。それだけ魔力を使う魔術をカグヤ様は準備を始めている。

 とにかく俺はそこから全速力で王城の門に向かった。ディオ様かユーレン伯爵を見つける事を出来れば、すぐに済むのだが、中々見つけられない。なにせ数が多い。更に門を壊そうとみんなが群がっている。


「どうする?」


 そう呟いて俺は後ろを見る。何かカグヤ様が居た所が尋常じゃなく光っている。こうバチバチと。


「拙い、拙い!」


 俺は懐から扇を取り出し、強く振る。

 強い風が巻き起こり、多くの者が後方からの暴風を確かめるために俺の方を見る。


「勇敢なるディオルード殿下の騎士たちよ! 共に立つ人々よ! あれを見ろ!」


 風のせいで僅かな時間、戦いが止まり、その瞬間に俺は言葉をすべり込ませる。

 表情が見えている人だけだが、その全員が顔を引きつらせた。恐らくほぼ全員が引きつらせただろう。

 俺は言葉を発しようと後ろを見て、顔を引きつらせる。

 槍だ。巨大な雷の槍。それが王都の上空にある。もっと言えば先がこっちを向いている。


「て、天からの雷に巻き込まれたくなければゆっくり門より離れろ! あれは我らのための槍だ!!」


 声が上ずる。俺の声を合図に門から多くの人が一歩ずつゆっくり離れていく。

 混乱されては敵わないからゆっくりと言ったが、いつ放たれるか分からないから冷や汗ものだ。


「ユキト! ユキト! 何故、お前がここに居る!?」

「ユーレン伯爵!? あとで話しますと言うよりすぐに分かります! とりあえず離れてください!!」


 近づいてきた鎧姿のユーレン伯爵を引っ張って、俺は門より離れる。

 どれほど離れればいいか分からず、とにかく放たれるまで皆と共に左右に分かれて離れ続ける。そして。

 その時はやってきた。

 爆音。思わず耳を塞いでしまう。音が響き、雷の槍が一瞬で門に落ち、粉砕した。

 いや、当たった門だけじゃない。王城は二重の門で守られていたようで、それすら破壊していた。恐る恐るみれば、中では多くの者が悲鳴を上げている。まさに死屍累々だ。

 けれど、そんな事も意に介さずに、左右に分かれたディオ様の軍の中央を綺麗な姿勢でまっすぐ歩く人物がいる。


「カグヤ・ハルベルトが入城する! 邪魔する者は誰であっても斬り捨てる故、心せよ!!」


 その瞬間、ディオ様側の多くの者が察した。

 最強の人物が味方になったのだと。

 その瞬間、国王側に居る多くの者が察した。

 最悪の人物が敵に回ったと。


「黒姫だぁぁぁぁ!?」


 その言葉と共に王城から聞こえていた悲鳴は更に大きくなった。

 そして、ディオ様に与する全ての人間たちは歓声を上げた。


「カグヤ様だぁ!」

「カグヤ様が来てくださった!!」


 それを聞きながら、俺はポカンとしているユーレン伯爵を見て、一言告げる。


「カグヤ様ですよ」

「……ああ……私の知っているカグヤ様だ……」


 ポロポロと涙をこぼし始めたユーレン伯爵に驚きつつ、無理もないかと思う。

 あの変わりように俺はびっくりしたけれど、元々のカグヤ様を知っている人は、今までのカグヤ様の様子に驚いていたのだろう。

 ようやく戻ってくれた。そんな思いがよく伝わってきて、思わず、とても不謹慎だが、笑顔を作ってしまった。


「ユキト!」

「は、はい!」


 いきなりカグヤ様に名前を呼ばれたので、背筋を伸ばして返事をしてしまう。


「押し通る! 遅れるな!」

「……御意!」


 こうして、圧倒的戦力を有したディオ様の軍は瞬時に王城の門をめぐる戦いを制したのだった。


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