75話
ファングウルフの解体を完璧とは言えないものの何とかこなした俺は、オリビアさんと一緒に適当に昨日の残りで朝飯を済ませつつ、レベルアップしたオリビアさんのステータスを確認することにした。
オリビアさんにとってはこれが初めての戦闘によるレベルアップだったようでベースレベルが2、ジョブレベルが1上がっていた。ということでポイントを振っていこう。
Name:Olivia(BaseLv5)
Job:merchant(JobLv4)
HP:18
MP:37
Status:S(筋力)5、V(持久力)4+1、A(素早さ)4、D(器用さ)6+1、I(知能)13、L(運)5+1(Rest0)
Skill:交渉術(高く売る)Lv1、交渉術(安く買う)Lv1、次元収納Lv1、ラブ注入、浮気ダメ、商人鑑定Lv1(Rest0)
ステータスはI(知能)に全振り。これから魔導都市で何かジョブを得るなら、確実に何か魔法を使うジョブのはず。魔法の威力は知能依存だし、MPを使用しない魔法はないのでここはセオリー通り知能一択だろうということになった。
一応筋力をつけて装備の幅を広げるという案もあったけど、総合的に考えて知能に軍配が上がった。
スキルは次元収納の後にスキルツリーが伸びていた【商人鑑定】を取得。商人鑑定Lv1は、自分を中心に10メートル以内の物や生物を鑑定し、結果をパーティメンバーに共有する、というもの。俺の【鑑定】のいわば上位互換スキルでスキルレベルが上がるほど射程距離が上がるようだ。
商人は基本的には非戦闘職だが、こうして敵の弱点を看破しパーティメンバーに共有するといった後方支援系のスキルが充実している。
ちなみに俺はアドバイスしただけで、最終何を取るかを決めたのはオリビアさん自身。こういう自分に関することで取り返しのつかない事柄については、選択の最終判断は自分ですべきだと俺は思う。何かあったときに自分の決めたことだからと納得できた方が、本人にとっても周りにとっても良いのではないかと。それが配偶者に関することなら尚更。
あとは先ほどの戦闘の振り返りもした。
オリビアさんから「よくよく考えたら、今回ファングウルフだったから良かったものの、例えば【ロックニードル】を使う【ロックウルフ】のようなモンスターだったら地面から串刺しにされていたんじゃない?」という意見が出たのはその通りだと思った。
なので俺は、その場で簡易溶鉱炉を使ってミスリルの丸板を作り、【ファランクス・システム】の接地面に置くことで応急処置をした。
それからしばらく馬車を進めると、川沿いの道を倒木が塞いでいた。重機でもないと無理な大きさだった。
「今日はここまでにしましょう」
「そうですね……」
夕暮れ時に差し掛かっており、今から中途半端に引き返していては迂回する前に夜になってしまう。今夜中にどうするか決め、明日行動に移すのが吉だろう。
俺たちは倒木の影に馬車を停め【ファランクス・システム】を置くと、ここを本日のキャンプ地と決めた。




