74話
ファングウルフ残り7体がそのスピード任せに突っ込んでくる。
俺は完全気配遮断の状態で【スカイドラゴンの剣】で剣技【スラッシュ】をすれ違いざま敵の首元に放ち、頭と胴体をオサラバさせた。
残り6体。
スラッシュは現状Lv5の状態で攻撃力300%、命中1.6倍の補正が付く。ツルハシによる頭蓋骨マイニングは威力は高いが命中性能の点で剣技に劣る。今回は素早い敵かつ複数なので剣と盾を選んだ。
「ガルルルルルル!!!」
マメの攻撃をかいくぐったうち一体がファランクスにたどり着き爪と牙で攻撃。がミスリルシールドの防壁にはじき返される。止まった所をマメがメテオライトの弾丸で仕留める。
残り5体。
馬に向かったファングウルフ1体をマメは水球で攻撃して足止め、俺は背後から忍び寄り剣で頭部に【スラッシュ】を放ち仕留めた。
残り4体。
一瞬にして仲間の半数をやられたファングウルフたちはそこでようやく尻込み。一旦距離をとり見えない敵を警戒する。
だが分が悪いと判断したのだろう。リーダー格の個体が遠吠えで合図し、残りのファングウルフたちは退却していった。
さてと、被害状況の確認だ。俺は完全気配遮断を解く。
「オリビアさん、大丈夫ですか?」
俺は【ファランクス・システム】の扉を開け中を見る。するとオリビアさんが中でのぞき窓から外を伺っていた。
「ええ、何とか……。それにしても、この盾のテント頑丈ねえ。変な趣味だと思っていたけど、認識を改めないとだわ……」
旦那のオタク趣味に理解を示してくれたようで何より何より、俺ニンマリ。そんなやりとりをしていたらマメが「褒めて!」と俺とオリビアさんの足元でクルクルと喜びの舞を始めた。
オリビアさんがマメをナデナデして褒めつつ、「そういえば、さっき変なファンファーレみたいなのが聞こえたわ……」と言った。
「あ、それたぶん今パーティ組んでるんで、ファングウルフを倒したからレベルアップしたんだと思いますよ。あとで確認しましょう。俺ちょっと馬の様子見てきます」
木につながれた馬は、ファングウルフの襲撃にビビリ散らかしているかと思いきや、割と落ち着いていた。
あとファングウルフをどうにかしなきゃだ……。日本以外のアジア圏では狼肉を食うところもあるらしいから、これも食えないことはないのだろう……、が日本の食文化にはないものなので抵抗ある。
……うん、食うのはやめておこう。
俺は仕留めたファングウルフを解体し、皮や牙など売れる素材だけもっていくことにした。




