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異世界占い師・ミシェルのよもやま話  作者: Moonshine
モテない女には、具体的な理由があるものだ

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54/113

そういう訳で、折角の女子会の数日後。

「いらっしゃい、ビュリダンさん」


ほぼ諦め顔のミシェルが迎えたのは、先日ミシェルが楽しみにしていたデザートを、台無しにしてくれた、お嬢さん。ビュリダンさん、というらしい。


リリーによると、ビュリダンは、この領地の、教育局の事務方をしているとか。

キャリアは可もなく、不可もない、課長補佐くらいのレベルだとか。


「お前が公共の場で、大声で下品な話をしているからだ」


二時間もならんだデザートの、一番楽しみにしてた部分を堪能できず、ミシェルはくやしくて、くやしくて、聞きてを求めてダンテに話をしたのに、事のあらましを聞いたダンテは取り付く島もなく、あきれてそう、ミシェルを見捨てた。


下着屋にいくという一般会話のどこか下品な話なのよ!


そもそも、ただ悔しいという気持ちを、誰かに聞いてほしかっただけなのにと、ミシェルはご立腹だ。


ただこんなつまらない話でダンテと喧嘩になったとは、さすがにカロンには言えず、なんとなく先日は一日、ダンテのいる本館にはよりつかずに、離れの仕事場の整理なんかをしてみてたのだ。


ビュリダンには、リリーが、ミシェルは占い師だから、本当にアドバイスが欲しいのなら予約を取って、鑑定の依頼を出しなさい、ときちんとたしなめてくれて、その後正式な依頼を受け、今日にいたる。


正直、このおさわがせな子が原因でデザートは台無しになったし、またこの子が原因でダンテとしょうもない喧嘩したしで、あまりこの相談には乗り気ではないが、乗りかかった船だ。


「ミシェル、頼むわ。一人でも不幸な女の子が減るように、私からもお願いする」


そんな口では優しい事をいいながら、「未亡人の秘密」の最後の一口はちゃっかり自分で全部堪能したリリーからのお願いもある事だ。

ミシェルは、ビュリダンを部屋に招き入れて、鑑定の準備にはいった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「それで?ビュリダンさんはなにをみてほしいの?」


仕事は仕事だ。

ミシェルもあまりやる気が起こらなかったが、聞く体制に入る。


「ええ、なんか毎日つまらなくて。どうやったら他の人みたいに、彼氏ができたりするのか、教えてほしいとおもったんです。みんな私と同じような暮らしをしてるはずなのに、どうして彼氏ができるのか、どこにそんなチャンスがあるのか、不思議に思って」


たしかに、ビュリダンは本当につまらなそうだ。


今日のビュリダンの装い一つ取っても、可もなく、不可もなくだ。

白いブラウスに、紺のスカート。銀のアクセサリー。

だれが見ても、可もなく、不可もない。


顔の造形は悪くない。特徴のない顔つきだが、化粧映えする顔だ。

だが、「義務で化粧しています」という雰囲気満々の化粧の仕方をしている。


ミシェルが化粧する時は、ちょっとでも目が大きくみえるようにだとか、顔の凹凸がはっきりするように、だとか、春っぽい感じの演出、だとか、素敵な色のリップを纏いたかったから、とか、何かの目的があって、それを体現するために化粧をする。


だがこの娘の化粧からは、何も感じない。


この若さで、なぜこんなつまらなさそうなのだろう。


まあ、いい。


「そうね、ビュリダンさんは、どんな彼氏がほしいの?」


とりあえず、この子の理想を聞いてから、鑑定に入ろうかな、そう思っていたミシェルなのだが。


ビュリダンは、少し考えて、それからもう一度考えて、


「・・?さあ?」







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