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長政記~戦国に転移し、家族のために歴史に抗う  作者: スタジオぞうさん
第一章 家督の継承と織田家との同盟

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主な登場人物

主な登場人物

(※の記述は史実に関するものです)


「浅井一族」

浅井長政(主人公の意識が現代から転移)

 1545年生まれ 通称は新九郎

 北近江の大名である浅井家の嫡男。父は久政、祖父は亮政。

 1560年8月の野良田の戦いで先陣を切って六角軍に突撃した際、史実と異なり重い矢 傷を負う。城に戻った後に高熱を出して寝込む。目が覚めたとき、現代から転移した主人公の意識が宿っていた。長政の記憶はあるが、長政の意識は消えている。主人公は転移時に名前などの記憶が欠けている。転移前は歴史好きだった。

 ※織田信長と同盟し、お市と結婚する。しかし、織田家が朝倉家を攻めた際に朝倉家につき、織田家を後ろから攻める。後に織田家に攻められ、朝倉家や本願寺家と同盟して対抗するが破れ、家臣の裏切りも相次ぎ、小谷城は落城し、自刃する。


浅井市

 1547年生まれ 

 織田三郎信長の妹。

 戦国きっての美人として知られるが、文武両道の優秀な女性でもある。

 性格も優しく、弟や一族との争いで兄の心が傷ついたことを心配している。

戦略結婚で浅井家に嫁ぐために敵国の美濃を通る際、斎藤飛騨守の手の者に襲撃されるが、自ら片鎌槍を振るい奮戦するうちに、長政や実宰院に救援される。

 ※小谷城の落城時に三姉妹と共に落ち延び、織田家に戻る。信長の死後、柴田勝家に嫁ぐ。柴田家の北庄城が滅ぶ際には三姉妹を逃し、自らは城と運命を共にする。


実宰院昌安見久尼じっさいいんしょうあんけんきゅうに

 1537年生まれ。長政の姉。

 浅井家中でも際立つ武芸で知られ、お市の救出戦で実力を発揮する。

 長政にとっては、六角の人質から浅井家に戻ったときに気遣ってくれた頼りになる姉。

 ※身の丈5尺8寸(約176㎝)、目方は二十八貫(約105kg)と伝わる。小谷城落城後に三姉妹を匿い、織田家の残党狩りから守り通したという逸話もある。


浅井竹若丸

 1548年生まれ。長政の異母弟。竹若丸は幼名。

 兄をいつか助けることができるようにと、学問も武芸も頑張る真面目な弟。


京極慶

 1542年生まれ。長政の姉、実宰院の妹。

 久政の政略結婚で、30歳以上も年上の京極高吉に嫁がされる。

 当初は不満に思ったが、浅井家と京極家の間をつなぐ役割を果たそうとしている。 

 ※1570年に夫の高吉と共にオルガンティーノから洗礼を受けたとされ、京極マリアと呼ばれる。長女は秀吉の側室となった竜子。


田屋明政

 1524年生まれ。通称は新三郎

 長政の祖父亮政の長女である鶴千代の婿養子。亮政が後継者を決めないまま亡くなったので、義弟の久政と家督争いになるを避けるため、身を引いた。久政が隠居させられた後は浅井一族の長老として長政を支える。 


海津局うみつのつぼね

 1546年生まれ。田屋明政と浅井鶴千代の長女であり、長政の従妹。

 頭脳明晰で父の信頼も厚い。男子のいない田屋家の実質的な後継者と目されており、淡水真珠の養殖という極秘の事業を仕切る。

 ※淀殿の代理として渉外などに活躍。豊臣家が滅んだ後は徳川家に仕え、お江と千姫を支える。父・明政の養子となった浅井政高と結婚し、後に江戸幕府旗本三好家の祖となる三好直政を生んだとされる。


浅井久政

 1526年生まれ。長政の父。

 六角の支配に甘んじる代わりに領内の内政充実を図る。しかし身重の妻を六角に人質に出し、嫡男の元服時に六角義賢の一字をもらうなど六角の家臣のような行動に家中の不満が高まり、野良田の戦いの勝利を機に隠居させられる。長政や実宰院は家族を駒としてしか見ない態度を嫌っている。 

 ※いったん隠居させられた後、小谷城に復帰し、影響力を保つ。織田の朝倉侵攻に際し、朝倉との関係を重視して織田を攻めることを主張したとされる。



「浅井家家臣」

遠藤直経

 1531年生まれ。通称は喜右衛門。

 京極氏の被官であった頃以来の浅井家の譜代の家臣。長政の傅役的存在。

 長政が最も信頼する忠臣。長政の家督継承のために奔走し、国境の城である鎌刃城主を任されて美濃の齋藤家に備える。

 ※信長の底知れなさに暗殺を提案する一方、織田の朝倉攻めの際は朝倉氏ではなく織田氏につくことを強く主張したとされる。


安養寺氏種

 1538年生まれ。通称は三郎左衛門尉。

 京極氏の被官だった安養寺家の当主。浅井家の外交担当として活躍する。

 ※長政とお市の縁組を進める交渉役をつとめたという説がある。


中嶋直親

 1540年生まれ。通称は宗左衛門。

 遠藤直経が城主となった後、後任として近習のリーダーとなる。

 ※遠藤直経と並び、長政の側近だった。阿閉家が裏切った後も小谷城の支城を最後まで 守り、行方不明になったと伝わる。


磯野員昌

 1523年生まれ。通称は善兵衛。

 長政の信頼の厚い武将。戦いの指揮が上手い。対六角の最前線である佐和山城主。

 ※佐和山城主として六角戦で活躍し、信長との戦いでも奮戦。小谷城に撤退しようとし たが長政に疑われて入城できず、やむを得ず降伏したとも伝わる。


赤尾清綱

 1514年生まれ。通称は孫三郎。

 久政から長政への家督継承の後押しをするなど、浅井家の宿老として長政を支える。

 高齢のため、長政が出陣するときには小谷城で留守を任されることも多い。

 ※浅井家の家臣としては「赤北雨三将(赤尾清綱、海北綱親、雨森弥兵衛」が知られているが、江戸時代に書かれた「浅井三代記」の創作であると思われる。しかし赤尾清綱だけは実際に宿老であったと考えられる。


三田村左衛門

 1510年生まれ。京極氏の被官だった三田村家の当主。

 長政は子どもの頃から親しくしていて「爺」と呼んでいる。

 長政の信頼は非常に厚く、竹若丸の傅役を頼んだ。


新庄直頼

 1537年生まれ。通称は新三郎

 東山道に近い朝妻港を擁する朝妻城の城主。長政の商業改革に協力する。

 ※浅井家が滅んだ後、秀吉の御伽衆となった。徳川幕府では文武に優れ人倫をわきまえた人物として評価され、常陸麻生藩の初代藩主となった。


野村直隆

 1539年生まれ。通称は藤左衛門。

 国友村の鉄砲衆の長。長政の家督継承を早くから支持する。

 ※国友村の鉄砲衆を率い、織田家との戦いでは横山城の守将として活躍し、織田家に寝返って国友を襲った宮部継潤を撃退したと伝わる。


増田長盛

 1542年生まれ。通称は仁右衛門

 長政の近習として登用され、内政面でも活躍が期待されている。

 ※小牧・長久手の戦いでは武功を挙げたと伝わり、内政型武将の多い秀吉の五奉行の中では珍しく戦も得意。太閤検地では石田三成、長束正家らと共に中心的な役割を担った。


阿閉あつじ貞征

 浅井家の重臣である阿閉家の当主。小谷城から北国街道への出入口となる要衝の山本山城の城主。長政からは信用されていない。

 ※信長に寝返ったため、小谷城は孤立し、落城の原因となっとされる。織田に降ったのちに秀吉と対立し、明智光秀に味方するが、山崎の戦いで敗れる。

  

樋口直房

 浅井家の重臣、堀家の家老。通称は三郎左衛門

 堀家当主が幼少のため、家中を仕切る。自らの教養を誇っており、長政とお市の結婚式で恥をかかせようとする。

 ※堀家は美濃国境の城を複数任されていたが、織田家の近江侵攻があるとすぐに寝返る。織田家に臣従した後、北陸戦線で一揆勢力と単独で講和して退いたことで秀吉の逆鱗に触れ、主家の堀家は滅ぶことになる。


「織田家」

織田信長

 1534年生まれ。通称は三郎

 桶狭間で今川義元を討った後、美濃を攻めあぐねる中、北近江の浅井家と同盟するため に妹のお市を浅井長政に嫁がせる。

 ※言わずと知れた三英傑の一人。数ある戦国武将の中でもスーパースター。


丹羽長秀

 1535年生まれ。通称は五郎左衛門尉

 信長の信頼のあつい家臣。浅井家との同盟とまとめ、お市を無事に近江に嫁がせるため、自ら護衛を務める。

 ※1550年頃から信長に仕え、一度も背くことなく各地を転戦した。信長の養女を妻に迎え、長男は信長の娘と結婚したことからも信長に信頼されていたと思われる。


「山中家」

山中長俊 

 1547年生まれ。通称は橘内きつない

 甲賀二十一家である山中氏の棟梁の息子。学問にも明るい教養人。

 忍びに偏見がなく、情報の重要性を理解する長政を気に入り、家臣となることを考えている。大人びている橘内は、長政にとって同年代のように気軽に話せる貴重な存在でもある。

 ※六角家が滅んで後に信長に臣従し、勝家の家老となり、堀秀政の紹介で秀吉の祐筆となる。太平記の続きの歴史書である「中古日本治乱記」を執筆したとされる。


(注)生年は史実に沿っています。生年不詳とされている場合、主要人物については筆者が生年を設定している場合もあります。また、京極マリアのように名前が伝わっていない場合、架空の名前を付けています。


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