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18話 商人がやってきた

 今日、外から商人がやってきた。

 どうやら、この街で魚を売りたいらしい。


 確かにこの街には川がない。

 だから、魚を食べるという風習はあまりない。


 ーーでも、なぜこの街に?

 他にもっと向いている街があるはずだ。


 マルチェリオさんに意見を聞いてみることにした。



「マルチェリオさん、外から商人が来たんですけど…」


「この街にですか?珍しいですな」


「魚を売りたいとのことなんですけど、どう思いますか?」


マルチェリオさんは少し考え込んだ。


「……正直、少し引っかかります」


「引っかかる?」


「はい、この街には川がありません。

 だから、この街で売るというのは納得が行きますが、わざわざ、この街を選ぶ理由がわかりません。

 隣町に行くことでさえ、半日かかります。


 とはいえ、商人を拒む理由もありません。一度、様子を見ましょう。


 ルカ君、もし何か異変があったら、すぐに教えてください」


「わかりました!」


 マルチェリオさんが言うなら安心だ。


 街に入ることを許可すると、馬車を街に走らせていった。


 それにしても魚かぁ。

 俺も後で買いに行こう!



 1日の仕事が終わり市場へ向かった。

 市場では、見慣れない魚が並んでいた。

 思ったよりも安く、街の人たちも興味深そうに集まっている。


 俺も二匹買って、家に持ち帰った。

 

 ちなみにルーペで買えたけど、換金はハーレンがなんとかしてくれたようだ。


 さっすが!

 

「りーりゃ、ただいま!」


「おかえり」


「ねぇ、この魚。市場に売ってたんだ。

 しかも、2ルーペ(約100円)安いよね?」


「安いね、わざわざ買ってきてくれたの!?

 ありがとう!

 夕食で食べましょう!」


 俺たちは魚を主食に夕食とした。



 そして、翌日、お腹を壊した。


 俺は急いでトイレ(ほぼ野糞)に向かう。


 トイレの扉を開けようとすると、想像もしたくないことが。


 閉まっている。リーリャめ…


 これは絶望ランキングTOP10には入るだろう。


 仕方なく、家の外ですることにした。


 話をまとめると、俺とリーリャのどちらもが腹を壊した。


 昨日のことを振り返ると、魚のことを思い出した。


 あの魚、一瞬変な臭いがした気が…

 だけど、安かったからなぁ。

 まさか、腐っていたのか?


 だけど、病院は…


 今まで考えていなかったことだ。


 怪我をした人や、病気の人はどうしているんだろう。

 そもそも、この世界に病院という概念はあるのか?

 

 まあ、とりあえず街の人に聞いてみるしかない。


「すいません!」


「ああ、これは領主様。どうなされましたか?」


「この街の人って、怪我したらどうしてるの?」


「ああ、それでしたら広場の近くにポーションを売っている店がありますよ」


 ーーポーションがあるのか!

 さすが異世界だ。


「ありがとうございます!」


 俺は言われたとおり、広場へ向かった。


 すると、一つの看板に目が止まった。


 そこには「薬草店」と書かれている。


 ――ここだな!


 すると、店の前には行列が。

 

 一つ前の人もお腹が痛くてきたらしい。


 その人も魚を食べたようだ。


 これは何かおかしい。


「すいません、前を通らせてください。」


 俺は列をかき分けて、店主のところまで進んだ。


「すいません、店主!

 ポーションを無料で配ってください。費用は俺が持ちます」


「本当ですか?すごくかかりますよ?」


「はい…」


 俺は店を出た。


「みなさん、今回のことで、ご迷惑をおかけしました」


 店の前に集まった人々に、俺は頭を下げた。


「ポーションは無料で配ります。そして、今後はこのようなことがないよう、商人の検査を厳しくします」


「領主様…」


「この街を、必ず守ります」


 街の人々は、静かに頷いた。


 ーー街の信用を落とすわけにはいかない。


 俺は拳を握りしめた。



「マルチェリオさん、昨日の商人が売ってた魚、みんなお腹を壊したみたいなんです」


「えっ!?」


 マルチェリオさんは目を大きく開いた。


「もしかしたら……まずいですぞ。

 魚を売る時に全員が食中毒を起こすのは滅多にないはずです…」


「二つの可能性があります。一つは、魚が腐っていた。もう一つは…」


マルチェリオさんは言葉を濁した。


「もう一つは?」


「……意図的に、粗悪な魚を売りつけた可能性です

 考えたくもないですが、今回はこちらの可能性の方が高いです。

 値段が安かったことが特に怪しいです」


「なんで、そんなことを?」


「この街の信用を落とすため。『領主は変わったが、街は良くなっていない』と思わせるためかもしれません」


 ーーそんな…


 でも、まだ、噴水と井戸ができただけ。

 警備隊も、商業ギルドも、始まったばかり。


「この街は良い」なんて、胸を張って言えるほど、まだ何もできていない。

 

「しかし、確証はありません。まずは、その商人を見つけましょう」


 ーーそうだ。今、やるべきことをやる。


「マルチェリオさん、商業ギルドで警戒を呼びかけてください」


「わかりました」


  俺は早急に対処するため、側近を集めることにした。



「ソルシダ、あの商人を探してくれ」


「承知しました」


「そして、ハーレン、魚を買った人のリストを作ってくれ」


「おう、任せとけ」


「あと、商業ギルドで新しいルールを作ろう」


「どんなルールだ?」


「外から来た商人は、まず商業ギルドに届け出る。商品の検査も行う」


「なるほど。それなら、こんなことは起きないな」


 ーーこれで混乱はある程度、免れるだろう


「それで、マルチェリオさん。この事件、誰の仕業だと思いますか?」


 マルチェリオさんは少し考えた。


「……この街を改革しようとしている人ですね

 もしかしたら、あなたの両親か、その関係者の可能性もあります。

 これは、始まりに過ぎないかもしれません。今後も、警戒が必要です」


 ーー警戒か。


 俺は周りを見渡した。


 マルチェリオ、ソルシダ、ハーレン、リーリャ。


 みんなが、真剣な顔で俺を見ている。


 ーー俺は一人じゃない。


「みんな、ありがとう

 大変なことになるかもしれないけど、一緒についてきてくれる?」


「もちろん!」

「任せとけって」

「私たちが、この街を守ります」


 ーーそうだ。


 俺たちなら、きっと大丈夫。


 この街を、必ず守ってみせる。

 ここまで読んでいただきありがとうございます!


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