第910話群雄割拠の新時代10
リーゼの考えの骨組み…それは勝率計算とさらにはリーゼの狡猾な策略が根幹にある。
勝率計算の方は単純だ。
いや、単純と言ってもリーゼがあらゆる可能性を弾き出して計算したのだからそこに至る過程は単純の一言では片付けられないが、全員同時に相手をするかメドーかギッシュトートの片方を相手するのとどちらが勝率が高いのかは比べるまでもない。
普通の頭を持っていれば理解できるだろう。
もっともどうしてその勝率になったのかを、正確に説明できるのはリーゼだけだろうが…
ちなみに俺には全くわからん。
そしてもう一つ。
近い未来、ミグかアゼルメーテの片方を脱落させる為の策だ。
そう。
ここにいるヤツらを二つにわけるということは、少なくとも片方は今この場で権能の概念を得ることができないということだ。
そして得ることができなかった方は完全に敵ではなくなる。
同じ相手をするならこの場でどちらも戦力になる状態ではなく、片方を戦力外にした上で確実に潰す。
それがリーゼのもう一つの狙いである。
「さあ、どっちでも好きな方を連れていきなよ?余った方はリーゼとパパがもらうからさ?」
アゼルメーテがそのリーゼの言葉に従い、ギッシュトートに手をかけようとした時だ。
「どうゆうことっ!?わけわかんないよっ!?アゼルメーテっ!!」
ミグが叫んだ。
それに対しアゼルメーテは答える。
「話は簡単だ。そこにいるプリミティブゴッドを一体は我らがもう一体は白天が仕留める。白天の真意はわからないが我らに損はない」
アゼルメーテからしてみればこの提案にのるのは当然だった。
アゼルメーテの現在の神格エネルギーは実にラグアの10倍を超える…
だが、それは逆に言えばたったの10倍である。
そう。
神々にとっては僅かな時間の間にそこまで追い付かれてしまったのだ。
そして白天の隣にいる白天の娘だという幼女…
元々は神格エネルギーでは圧倒的に不利な状況でミグを…アラウザルゴッドを相手に互角に渡り合ったその実力や狡猾さは決して軽視していいものではない。
さらにはアゼルメーテからしてみれば1番困るのは時間をかけすぎてラピロアが来ることだ。
他はともかくラピロアはさすがに…
アゼルメーテは思った。
ならばノーリスクで大幅な強化が見込めるその提案は魅力的にすら聞こえる。
提案を受ける。
それがアゼルメーテの結論だった。
もっともその魅力的に見える提案はリーゼの狡猾とも言える罠だということにアゼルメーテは気づけなかったのだが…




