第908話群雄割拠の新時代8
「……」
「これはこれは殿下方が揃い踏みで…申し遅れました我はメドー。忠実なる陛下の下僕の一人。同じくそっちはギッシュトート」
唐突な俺のその言葉に答えに詰まったミグよりも早くそう名乗ったのはプリミティブゴッドのメドーだ。
俺は特別なプリミティブゴッドだという二人を見据える。
虹色の瞳…真っ赤な髪…
ここまでは二人とも同じだ。
両者共に中性的な見た目だが、差があるのは顔立ちぐらいだ。
吊り目気味の方がメドー、垂れ目気味の方がギッシュトートといった感じだ。
そんな2人に対して口を開いたのはリーゼだ。
「ちょっと待っててくれないかな?お前らの相手はあとでするからさ?今リーゼ達はミグ達と話してるわけ」
もちろんリーゼが口を開く前から共鳴の概念で意識を共有している俺にもわかっている。
だが、それに対してギッシュトートはニヤリと笑みを浮かべる。
「これはお嬢様?お初にお目にかかります。しかしながらこれも陛下の目的の為…ご無礼を承知で…!?っ」
ギッシュトートはそのまま進み戦闘態勢に入り、攻撃を開始しようとするが、その表情は驚愕に染まる。
何故なら進んだ先…現在のギッシュトートの首筋には俺の触手が突きつけられていたからだ。
「バカだねー?確かに神格エネルギーはパパよりも上みたいだけど、リーゼの頭脳とパパの能力…その二つが合わさればその程度の差で勝てるわけないでしょ?なんならやってみる?どうなるか結果は見えてるけど?」
リーゼの他者の思考を読む能力に未来予知…
俺の神格エネルギーとアラウザルゴッドの力…そして神帝の因子としての能力…
それが混じりあったらどうなるか…
これが答えだ。
「「ぐっ…」」
メドーとギッシュトートは揃って歯噛みする。
そう。
彼らは心のどこかでナメていたのだ。
いかに陛下の力の一部が使えるとはいえ、初代神帝の時代から生きる彼らからすれば赤子同然の若い神など取るに足らないと…
ここでメドーは読心を発動させる。
「!?っ」
だが、結果はメドーの表情も驚愕に変わるというものだった。
「お前らごときにリーゼの頭の中が理解できるわけねーだろ?意識を共有した俺でさえ、その場その場の行動の指示以外は理解不能なんだからよ?」
俺は言った。
まるで自分で俺はバカだと言っているようなものだが、コイツに比べればほぼ全ての存在はバカである。




