第897話ルービスメゾル復活
〜ラピロアの拠点宇宙〜
ラピロアは自ら持つ呪玉を見つめる。
呪玉には細かいヒビが入っている。
いままでどんな戦闘をしても破壊されることのなかったそれがだ。
ヒビはだんだんと広がり、ついには音を立てて砕け散る…
「ぐっ…我は…」
アゼルメーテが目を覚ましたのはそれとほぼ同時だった。
そしてアゼルメーテの神玉もまた音を立てて砕け散った。
「!?っ」
これにはアゼルメーテも息をのむ。
表情は相変わらず普段の無表情のままだが…
「やあ、アゼルメーテ。いい時に目覚めたね?君は運がいいよ。パパが長い眠りから覚める瞬間に立ち会えるんだからさ?」
呪玉…そして神玉はその役目を終えたとばかりに消滅してしまった。
おそらくはラグアの核玉、そしてミグの起玉にも同じことが起こっているだろう。
「能力は…使える…」
「そりゃそうだよ。最後の継承でアゼルメーテの魂に能力が継承されるんだからさ?」
ラピロアは笑顔でそう言った。
ずいぶんと機嫌がいいようだ。
「知っていたのか?」
「うん?兄さんにバラバラに封印されたパパの魂を解放する条件のことかな?それは知っていたって言ってもいいかな?」
「さあはじまるよ。これから…群雄割拠の神帝候補達の新時代が…じゃあ改めてよろしくね?可愛い妹のアゼルメーテ?」
ラピロアは笑顔で言いながらビッツがしたのと同じように手を横にかざす…
そこには原初から数えて4番目の宇宙の映像が映し出されるのだった。
〜
何が起こった?
いきなり核玉が砕け散りやがった。
そして最後の核玉の継承の意味がようやくわかった。
あれは核玉の力を俺の魂に完全に定着させる為のものだ。
つまりはラピロアやアゼルメーテ、ミグにも同じことが起こっていると見るべきだろう。
その時だ。
ミグの無限転生が解除されたのは…
おそらくは時間切れだな。
今の俺の神格エネルギーは核玉があれば9362…
対するミグは切り札を使い果たした上に4241…
単純計算で倍以上離れている。
やるならどう考えても今…
俺は千手観音モードを展開する。
「クソッ…最悪のタイミングで…」
ミグも一応は応戦する構えを見せるがもはややる前から勝敗はついている。
「くくくっ、長かったな?アルムスから殺そうとして未だに生き残ってたのはお前だけだぜ?」
言いながら俺は恐ろしい速さの触手の一撃をミグに浴びせる。
覚醒に真覚を重ねた反応不可避のそれは一瞬でミグを真っ二つにする…
はずだった。
ガキンッ!!
唐突に響く金属音…
そして…
「ちっ!?アゼルメーテ…たくっ…ラピロア様は何やってるんだよ…」
「心外だなー?ラグアはこの状況でボクが遊んでるとか思ってるわけ?」
俺の一撃を止めたアゼルメーテ…そしてぶつくさ文句を言いながらラピロアが姿を現すのだった。




