第349話ダミーエルライド王国防衛戦11
目標、三元魔テオレーム・クリムゾン…
フィアナは正直ソドムとテオレームで迷ったが、オリウスから得た情報によりすでに四天凶星を2人失うという失態を犯しているソドムは、ここぞという時に挑発に乗らず初代ラグア達が戻るまでの時間稼ぎに走る可能性が高い。
そう判断したフィアナ達の動きは早かった。
「さあいくよみんな。犠牲になったプロトクローンのみんなの為にも絶対に成功させるよ」
フィアナ達は動き出す。
〜
フィアナ達がテオレーム・クリムゾンに向けて出撃した頃…
〜ダミーエルライド王国、カティアの私室〜
ダミーエルライド城はエルライド城を完璧に再現している。
無論カティアの部屋もその一つだ。
エルライド王国の特別王族に与えられるこの部屋は先程フィアナ達が司令室の代わりにしていたこの部屋と比べても全く見劣りしない程の豪華な一室だった。
もっともその特別王族という制度はこれから数時間後には廃止され、星王と改名されるのだが…
そしてダミーエルライド城のカティアの部屋にいる者はもちろんカティアではない。
その部屋にいる者は2人…
そのうちの1人プロトフィローラは呟く。
「フィアナめ。幹部とはいえ本国の幹部ですらない上、我と同じプロトクローンの分際で我等を時間稼ぎの捨て駒に使うか。なめた真似をしてくれる」
自分達を捨て駒にしたのが、絶対の主であるラグアなら理解できるし自分達の価値がそれぐらいしかないとラグアに思われているなら仕方がないとも言える。
だが相手がラグアではなく、フィアナなら話は別だ。
「確かにあの女はムカつくわね。もしかしてやるつもり?ならあたしも協力するわよ?」
そのうちもう1人プロトウリンは言った。
プロトウリンはプロトクローンの中では特殊で産まれながらに王級スキルを持っていない。
そもそも王級に至れる才能がないのだ。
オリジナルウリンが王級どころか帝級にまで至っているのは、ウリン自身が作り出した人工スキルによるものだ。
〜
プロトウリンが産まれた経緯はこうだ。
〜プロトセリー、拉致事件直後〜
「ラグア殿、この間の話は検討していただけただろうか?」
少し前にウリンはラグアにある頼み事をしていた。
「ウリン、助手がほしいって言ってもな。はっきり言うといねーよ」
ラグアは答えた。
配下のメンバーにその手の知識があるヤツは一切いない。
かと言ってカティア以外の5王を今まで助手として使わなかったという事は、ウリンが彼らの能力を見限っているという事だろう。
5王ですらそれなのだ。
ならば自分の配下を助手にしたところで使いものにならないだろう。
とそこまで考えたところでラグアは思い至った。
「なあウリン、お前のプロトクローンを作ればいいんじゃねーか?」
ラグアは言ったのだった。




