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第348話ダミーエルライド王国防衛戦10


フィアナの予想通り、第3防衛ラインは一瞬で抜かれ、3億の量産型アンデット軍は全滅…

プロトタリスは戦死した。


フィアナは戦死したプロトタリスに黙祷を捧げると言う。


「頃合いだね。発動、王級スキル、妖精王」


その瞬間、フィアナ達の前に空間を司る大妖精が召喚される。


「それじゃーいくよー。長距離転移」


フィアナのその言葉でフィアナとリリス、プロトリルとプロトセリー、そしてラグアの特別仕様分体が転移するのだった。



〜エルライド王国近郊、第2防衛ライン〜


「さあついたよ。みんな準備はいいかな?」


現在フィアナ達が転移してきたのは、第2防衛ラインの中でも出撃待ちのアンデット達が集まっている場所だ。

アンデット達は、ここから三方向に分かれて現在も攻撃を続けている。


「それでフィアナ、どこを狙うつもりだ?」


リリスは言った。


アンデット達が三方向に散っている前線には三元魔がそれぞれ守っているという事はプロトエミリーからの最後の通信で分かっている。

今回の目的は敵戦力にダメージを与える事…

三元魔を撃破するか、可能なら拘束すればこれほどの成果はない。


フィアナは考える。

自分の目算では三元魔を全員同時に相手しても、特別仕様のラグア様の分体なら勝てる。

だが、帝級クラス最上位の化け物三体相手に戦う場合、初代ラグアとエリローズに気づかれる危険性は高まる。

そもそも単体で惑星を潰せる実力のある帝級同士で、戦って気づかれないなどという事などありえない。

もはや気づかれるのは仕方がない。

ならばとるべき手段は短期決戦。

戦いがはじまってから一瞬で撃破もしくは捕縛、成功と同時に即時撤退。

フィアナは言う。


「そーだねー。まずはロロは除外だね。正直負ける事はないけど三元魔の中じゃ一番手こずりそうだしね?」


ラグアよりフィアナに与えられた三元魔の情報…

それによる三元魔ロロ・ベアトリクスの帝級スキル、不滅の帝、次元の帝、光速の帝、時間帝、空間帝、心眼の帝…

攻撃に特化した帝級スキルの他にも、これほどの防御に回せば恐ろしい程効力を発揮するスキルの数々…

例えば不滅の帝で分裂を繰り返し、次元の帝で亜空間に逃亡しながら次元を捻じ曲げ、光速の帝で神の俊敏に至り、時間帝で自分と相手の体感を時間を操作し、空間帝で瞬間移動を繰り返し、心眼の帝で相手の考えを先読みしながら戦う相手を倒すのは、いかにラグアの分体…

10の帝級スキルと10のエンペラーギフトを使おうとどれほどの苦労と時間を要するだろう?

そんな事を考えるよりは、はじめから除外した方が得策と言えるだろう。


「相手にするなら攻撃特化のソドムかバランス型のテオレームだけど、今回は時間的な余裕がない。状況的な問題でテオレームの方がこっちの思惑通りに動いてくれるはずだよ」


フィアナはそう断言するように言ったのだった。

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