第340話ダミーエルライド王国防衛戦2
〜ダミーエルライド王国近郊、第1防衛ライン〜
そこには2人の男がいた。
彼等の前に控えるはおびただしい数のセリーの量産型アンデットがその数5億…
だが、そんなアンデット達もかわいく見える程の大軍が、彼らに迫りつつあった。
「敵は一気に転移して来ないで、正面から来るみたいですね。ずいぶんと自信があるようですが、どうします?プロトノーマン様」
男の片方は言った。
「プロトアレス君さ。何回も言うけど、僕達のオリジナル様達は立場が違うけど、プロトクローンである僕達の立場はいっしょなんだから敬称も敬語もいらないよ?」
もう片方の男がそう答える。
「………わかった。で?プロトノーマン。どうする?」
プロトアレスは言った。
「うーん、まずはフィアナ様に言われた通りに交渉かな?ダメなら僕たちはアンデット5億を捨て駒にしてダミーエルライド王国まで撤退していいって言われてるしね」
「わかった。この第1防衛ラインの隊長はあんたで俺は副官だ。なら俺はあんたの判断に従うだけだ」
2人のプロトクローンはそう言ってアンデット達に待機命令を出して歩を進める。
〜
プロトアレスとプロトノーマンがそんな会話をしている頃…
〜初代ラグア陣営〜
「着いたぜ。俺様の可愛い配下達を殺した礼はたっぷりしてやらねーとな?」
初代ラグアは大軍と共に転移するなり言った。
今回初代ラグアが連れてきた軍は、その数およそ30億…。
通常この様な大軍の行軍を敵対を決めた直後に行うなど物理的にも時間的にも不可能だが、それはこの集団のトップである初代ラグアとエリローズの神の力によるものだ。
「そういえばラグア。プロトセリーとか言う捕虜から得た情報はどうなってるのですか?」
そんな初代ラグアにエリローズは言った。
「あの女か。見上げた忠誠心だが全く口を割らなかったぜ?まあ読心を使ってもよかったが、それは次だ。可愛い配下を殺されてのんびり情報収集なんかやってるほど俺様は優しくねーぜ?」
初代ラグアは言った。
プロトセリーと名乗った敵の捕虜はほとんど口を割らなかった。
わかった情報と言えば敵のトップが自分と同じ名を名乗っている事。
口を開けば…
「くくくっ、さあ殺すがいい。任務に失敗した私はもはや用済みだ。後は自分の目で見て絶望しろ。その肌で味わえ。お前が敵対したラグア様の恐ろしさをな?」
このセリフを聞いたソドムが即座にプロトセリーは殺そうとしたが、それは初代ラグアが止めた。
両軍は向かい合う…
数は数倍は違うし、質もおそらく勝っている。
あの様なアンデットごときに負けるなどあり得ない。
さて先陣は誰に任せるか…
初代ラグアがそんな事を考えていた時だ。
「ラグア様、エリローズ様、ここは俺に任せてください。あれはおそらく俺が一番詳しいかと…」
三元魔ロロ・ベアトリクスは敵のアンデット軍を見ながら言った。




