第331話ミグの神級とイグロシアル改革3
「それからフィローラ、悪いけど名前いろいろと借りるけどいいよね?」
「ああ、構わんぞ?」
リーゼは俺が口を挟もうとする前にそう言って九天勢力の代表格のフィローラを抱き込みにかかった。
クソっ
このタイミングで口を挟めばこじれるだけだ。
「じゃー今から新体制の説明をするよ。まずは盟主であるパパ。パパはもちろん惑星国家イグロシアルのトップ。つまり皇帝…。これからはパパの正式な名前は星帝ラグア・エルライド・イグロシアルだからみんなもそのつもりでね?」
おい、人の名前勝手に改名してんじゃねーよ
「それからそれに伴って現王族は皇族に…。それから同盟、九天、特別王族は廃止。これらの立場にあった人達にはこれから星王を名乗ってもらうよ?」
やりすぎだ。
俺がリーゼを怒鳴りつけようとした時だ。
「素晴らしいです。リーゼ様。このエリス、偉大なる星帝ラグア・エルライド・イグロシアル様にお仕えできる事こそが至上の喜びでございます」
そのエリスの一言で場の空気が完全に持っていかれた。
あちこちで拍手が起こり出す。
エリスのヤツ完全にやってくれたわ…
「以上をパパに変わって星帝皇女リーゼ・エルライド・イグロシアルが宣言するよ。それから星王のみんなには、これからイグロシアルの名を名乗ってもらうからそのつもりでね?それからエリス」
リーゼはエリスを呼びながら俺の方を見る。
なんのつもりだ?
とりあえず頷くか首を振るかだが、なんの事だか全く分からん。
とりあえずお前は後で説教だ。
その意思を込めて俺は頷く。
後にも先にも俺はこの時程、神の読心を使わなかった事を後悔した事はない。
「パパからの許可もおりた事だし、エリスを新体制の星王の1人として任命するね?これからは星王エリス・イグロシアルって名乗ってね?いいよねパパ?」
いやさ…
ここまで言ったらリーゼのヤツ俺が断れないのを知ってて言ってるよな?
クソっ…
時空の神で過去に戻るか?
『無駄ですね。過去に戻っても今のラグア様のこの状況は何も変わりません。ただ物理的な逃亡は可能ですが…』
エリローズが俺にそう告げる。
まあ確かに今まで俺に尽くしてくれたエリスにはなんらかの形に示す必要があったけどさ…
クソっ
こうなればヤケだ。
「ラグア様、本当に私などでいいのでしょうか?」
エリスは俺に言った。
「エリス…いや、エリス・イグロシアル、今までよく働いてくれた。これからも頼むぞ?これは俺からのささやかな気持ちだ」
俺はリーゼに散々引っ掻き回されてヤケクソになった気持ちを抑えながら言ったのだった。




