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第324話古き時代のアルムス30


「で?パッと見なんの問題も無いように見えるが何をしくじったんだ?」


俺はシーラにそう問いかけた。


「侵入者は2人いたんだよ。正確にはほんの一瞬だけこの拠点に入っただけだけど…。そいつはウチとそこでのびてるトカゲとの戦いの隙をついてプロトクローンを一体拉致って逃げたよ」


クソっ…

そーゆー事か。

敵の目的はおそらくこちらの情報…

プロトクローンのうち誰が拉致られたか知らないが、捕まったって事はもう俺の正体は露呈したと考えた方がいい。

俺は神通を発動させる。


『エリス、聞こえるか?』


『はっ、ラグア様』


『急ぎの用がある。すぐにウリンを連れてこい』


『はっ』


神通を切ってから数十秒でエリスとウリンが転移してくる。


「いったいなんなの?わけわかんないわよっ!!」


「ウリン様、ラグア様が急用があるようです。申し訳ありませんが、強制転移をかけさせていただきました」


ヒステリックに喚き立てるウリンにエリスは淡々と告げる。


いや、別にそこまでしなくてもよかったんだけど…

エリスに急げって言うとこうなるのか。

覚えておこう。

俺は思った。




「それでラグア殿、いったいあたしに何の用?」


ヒステリーは落ち着いたが、それでも若干不機嫌なウリンは言った。


俺はウリンの不機嫌を気付かないふりをして言う。

めんどうだしな…


「プロトクローンが一体、敵に拉致られた。誰が拉致られたのかと、どこの勢力の誰がやったのかをすぐに調べろ」


「…確かに急ぎの用みたいだけど、ラグア殿なんか最近あたしの事を使いすぎじゃない?ラグア殿がそれだけあたしをかってくれてるのは嬉しいけどさ?」


ラグアに対してウリンは言葉を選びながら反論した。

本音を言えば、確実にラグアの怒りを買うことになる。


ちなみに本音は…


"あたしとラグア殿の関係は同盟。つまりはあたし達は対等なわけ。あたしはあんたに協力する義理はあっても義務はない"


となる。

さすがにそこまでは口が裂けても言えないが…

同盟を破棄されてあんなキチガイと敵対するなど考えたくもない。


俺は考える。

なるほど確かにウリンと俺の関係は同盟だ。

最近は確かに配下達と同じように…

いや、プロトクローンあたりからは都合のいい様に…

ん?

そもそもプロトクローンができた原因って元を正せばルルとウリンが俺に黙ってリーゼを作った事が原因じゃね?

リーゼ自体は今は大事な仲間だが、それとこれとは話は別だ。

つまり俺が言いたいのは…

コイツ自業自得じゃね?


俺は言う。


「ウリン、確かに俺は最近お前をいい様に使ってたかもしれない」


俺の言葉で一瞬ウリンの表情が緩むのがわかる。

まだ続きがあるけどな?


「特に最近プロトクローンができてからは更に酷かったな」


ここまで言ってウリンは何かに気づいたのか急に青ざめ出す。

バカが。

自分で自分の首を絞めた事に今更気づいたか?


「ウリン、続きを言う必要があるか?」


「あたしが悪かったわ。すぐにとりかかるわ」


ウリンは真っ青な顔をして俺の頼み(脅迫)を遂行するのだった。



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