第319話古き時代のアルムス25
プロトエリス達は侵入者のいる場所に辿りつく。
「貴様ぁぁ!!よくも偉大なるラグア様の作りし建造物を…死んで償えぇぇ!!」
目の前の惨状に目の色を変えたプロトセリーがオリウスに攻撃を開始する。
もちろんただの攻撃ではない。
王級スキル、魔導王によるステータスに大幅な補正のかかった一撃…
「マジックボム」
しかもプロトセリーはオリウスに接触する瞬間に合わせて魔導王を解放した。
完全なプロトセリーの全力の一撃である。
そんなプロトセリーに対し、オリウスは一切の防御動作をとらなかった。
当然プロトセリーの大幅に強化されたマジックボムはゼロ距離でオリウスに直撃する。
だが…
「へー、ラグア様かー。奇遇だな?俺達のトップもラグア様って言うんだぜ?まー、確実に別人だろうけどよ?」
オリウスは全くの無傷である。
プロトセリーは驚愕の表情を浮かべて固まっている。
「俺がなんで無傷なのかわからないか?逆に王級ごときで帝級クラスに傷を負わせられると本気で思ってんのか?常識の無いヤツだな。まあ、授業料は腕1本でいいぜ?」
オリウスはもう一度攻撃をしようとしたプロトセリーの右腕を掴み、ステータスに任せて肩から引きちぎった。
プロトセリーはたまらず悲鳴をあげる。
「ぐああああああああ!!」
「女の子はもっとお淑やかに悲鳴をあげるもんだぜ?うるせえヤツは嫌いだぜ?」
そういいながらオリウスはプロトセリーの腹に軽く膝蹴りを見舞う。
軽くと言っても元々のステータス差がとんでもない。
確実に内蔵が潰れた音がした。
「ぐぼえっ…」
口から大量の血を吐き出しプロトセリーは動かなくなった。
ギリギリ死んではいないが、完全に虫の息である。
既に意識はない為、自力でスキルによる回復もできない。
プロトセリーの悲惨な結末を見て、プロトエリスとプロトライナーは警戒する。
「さあ残りの2人もこいよ?すぐにこっちの青いお嬢ちゃんみたいにしてやるよ?まあ、どうせ暇だからしばらく楽しむけどな?」
オリウスは邪悪な笑いを浮かべる。
自分より弱者を嬲り殺す加虐嗜好…
死体性愛…
この辺りが彼が竜らしくないと言われる所である。
「…プロトライナー、時間を稼ぐぞ」
プロトエリスはオリウスから視線を切らずに言葉だけでプロトライナーに言った。
「…命と引き換えの時間稼ぎか。しゃーねー、もはや防衛は失敗って言ってもいい。本隊に報告もこれだけ実力が離れてたらできそうにない。なら…」
「「偉大なるラグア様の為にここで散るのも一興よ!!」」
プロトエリス、プロトライナーは二手に別れながら同時に攻撃準備を開始する。
「負けるってわかっててもくるか。おもしれー…!?っ」
オリウスが言いかけた時だ。
突如、真横に衝撃を受けてオリウスは吹き飛ばされる。
その一撃で右手はバキバキにされた。
相手は確実に帝級クラス…
オリウスは吹き飛ばされている短い間に判断する。
「あーあ、記念すべきウチの初仕事がトカゲの捕獲とかないわー。やる気でないわー」
そこには文句タラタラで姿を表す、灰色の髪をなびかせる美女が立っていた。




