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第313話カティアとシュドレ2


「はあっ!?無理に決まってるでしょっ!?あんな狂信者の化け物を討つなんてっ!?」


カティアは叫んだ。


「エリスはラグアと違って実力自体はそこまでの化け物じゃない。たぶん俺やカティアといい勝負だ」


シュドレはゆっくりそう言った。


「だったら私がエリスを討つ必要は…」


カティアが最後まで言い終わらないうちにシュドレは答える。


「ラグア単体の場合とエリスとラグア2人を相手にする場合では計画の成功率は大きく変わってくる。それに万が一俺がラグアを討てたとしても、エリスが残っていれば大半の配下をまとめあげ、ラグア復活の為に動き出すだろう。まあ、一部のエリス以上に力を持った同盟連中や特別幹部は抜ける可能性が高いが…。だが、ラグアを討った俺にそれを止められるような力が、いや、ラグア相手なら相討ちでも上出来だ。ラグアとエリスを同時に討てば、たぶん他の最高幹部や特別幹部はバラバラに動き、今のラグア一派は確実に崩壊する。リーゼにはまだ奴らをまとめ上げる求心力はない」


シュドレは一気に最後まで言い切った。


カティアは数巡思考を巡らせたあとに静かに答える。


「話はわかったわ。シュドレ…。私の答えは…」


カティアはシュドレを真っ直ぐに見つめたままそこで一度言葉を切る。


「悪いけどお断りよ」


シュドレはカティアの言葉から一瞬間を置き言う。


「そうか。残念だ。それはお前が敵になるかもしれないって事だよな?まあ、お前がラグアに今の話を報告した時点で俺の計画は終わりだ。どの道ほとんどゼロに近い綱渡りみたいな計画だった。好きにしろよ」


カティアはシュドレの言葉に少し笑う。


「ふふっ、そんな事しないわ。勘違いしないで?ただ私は臆病なだけ。私は怖いの。ラグアがエリスがそしてアイツらが作ったこの組織がただひたすらに…。シュドレが羨ましいよ。あのキチガイ達をよく思わなくても私にはシュドレのような勇気はないんだから…」


「わかった。カティア、ありがとう」


シュドレはそう言って出て行こうとするが、カティアはそれを止める。


「待って、私はシュドレにも死んでほしくない。もし、もしもシュドレの両親が元通りになるならあんたは計画をやめる?」


「………カティア、いくらお前でも言っていい事と…」


「ミグ・ヒピー」


シュドレは憤りながらカティアに詰め寄ろうとするが、カティアの一言で押し黙る。

ちなみにシュドレの母親は第二次神魔大戦の余波で犠牲になっている。


「私がラグアに進言する。あんたの計画には乗れなかったビビりの私だけどあんたから少し勇気をもらった。それぐらいはするわ。少しだけ待って…。もし私が失敗した時はあんたの好きに動けばいい」


シュドレがもし、転生者ではなくアルムス出身だったら例え両親が元通りになったとしても、ラグアに牙を剥く可能性もあっただろう。

ミグ・ヒピーはかなり特殊な例だが、それでも虎視眈々とラグアを討つ機会を狙う選択をとる者はそれなりの数いるだろう。

だが、シュドレは転生者であり、前世は平和を絵に描いた様な日本人だった。


「カティア…っっっ!!」


シュドレはこの日この世界に来て、父親が死んだ日以来はじめて泣いた。



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