第297話古き時代のアルムス5
「ようやく、話合いに応じたか。歓迎してやるよ。着いて来いよ?」
俺は空間を引き裂き穴を開ける。
その先はもちろんイグロシアルに通じる。
「まっ待てっ!!俺も行くっ!!」
そう言ったのはジオだ。
「ジオ、俺は別にお前らと争うつもりはねえ。来たければミュラも連れてくればいいさ?」
「お前は俺達の事を知ってるのか?」
「話はあとだ。続きは俺の城でしようじゃねーか?」
俺はそう言ってミグ達を促すと空間を引き裂いた穴の中に入っていった。
ミグ達も俺の後に続く。
〜〜〜
エルライド城、玉座の間…
その玉座に俺は深く腰掛け、分体を本体に入れ替える。
そしてルルが当たり前の様に、何故か俺が知らない間に用意されていたもう一つの玉座に座る。
そしてその周りには、同盟連中や特別幹部以上の配下達…要は主要メンバーが勢揃いしている。
「ラグ様の隣は私以外にありえません」
よし、コイツは無視しよう。
相手にしてたら威厳もへったくりもない。
「さすがママ。じゃーリーゼの席はここー」
リーゼは自分の席が用意されてるにも関わらず俺の膝の上に座り出す。
「てめえら空気読めやっ!!特にリーゼっ!!てめえのガキを膝に乗せながら謁見する魔王がどこにいんだよっ!?あ?子煩悩かよ?どう見ても底抜けのアホだろうがっ!!」
俺はバカ共を怒鳴りつけた。
〜
ミグ達一行は現在、玉座の間の中央に用意された巨大なテーブルの正面の椅子に座っている。
「うわー、すごいやー」
ミグは周りを見渡す。
おそらく自分を招待した相手の関係者達だろう…
王級、帝級クラスが当たり前の様にいる上、神級も数体紛れている。
そもそもここはアルムスではない。
何故なら索敵王を使用しているにも関わらず、シーラを含めた強者達の気配を感じない。
そして、自分をこの様なところに連れてきた張本人は玉座に座っている。
つまりこの中で立場は1番上なのだろう。
ん?
1番上?
この中ではそこそこ上位には入るが、それでもこの中に数体いる神級達と比べれば霞む…
ミグは疑問符を浮かべる。
その時だ。
「「!?っ」」
突然、自分達を呼び出したラグアと名乗るヤツから感じる気配が爆発的に上がった。
その圧倒的なオーラは神級なんてものではない。
あれはオリジンゴッド…
邪神エリローズから感じる気配と同等だ。
「おいおい…冗談だろ…」
ジオは普段の余裕もなくそう言うのが精一杯の様だ。
ミュラに至っては驚愕と生物としての本能的な恐怖で言葉も出ない様だ。
そしてミグはと言うと…
恐怖…驚愕…どれも違う。
ミグはただキラキラした瞳でラグアを見つめる。
そこにある感情は憧れ…
「すごい…これこそがあたしの目標だよ…」
ミグを含めた3人のラグアに対する感情は様々だが、その後に行われたラグアとリーゼの茶番など、全く気にならなかったのは共通していた。




