第283話神格融合
時はほんの少しだけ遡る。
ジジイの手が俺に当たる直前の事だ。
『…ラグア様、準備が整いました。これより神格融合を開始します』
エリローズの神通が届くそれと同時に俺の神格エネルギーが戻るのを感じた。
いや、この感覚はそれ以上だ。
なにせジジイの手がクソ遅く見える。
これならたぶん迎撃可能だ。
俺は触手の一撃でジジイの腕を切り飛ばす。
『神格エネルギーの融合に成功。これより個体名ラグア・エルライドと個体名エリローズの完全融合をはじめます』
『は?てめえ何やってんだよ?』
俺の神通をエリローズは無視して続ける。
『主人格は個体名ラグア・エルライドに指定。概念、消滅の譲渡に成功。これより神級スキルの譲渡に移行…』
『クソアマぁぁ!!何やってるかきいてんだよっ!!』
俺は神通でエリローズを怒鳴りつける。
『最後なんですから黙って聞いて下さい。全能の神の譲渡に成功。事象の神の譲渡に成功。法則の神の譲渡に成功。技能の神の譲渡に成功。真理の神の譲渡に成功…』
俺の中に次々に聞いた事もない神級スキルが入っていく。
『おい、マジでどうゆう事だ?説明しろ』
エリローズは勝手にはじめたアナウンスを一旦中断すると言う。
その間にもアナウンスがないだけで次々と神級スキル、帝級スキル、極めつけは称号までもが次々と俺のステータスに組み込まれていくのがわかる。
『ラグア様。私本当に嬉しかったんですよ?ラグア様が私の夢に協力してくれるって言ってくれて…。玉砕?冗談でしょう?そんなのはラグア様らしくありません。ラグア様はラグア様の生きやすい世界を作る。それがラグア様の夢でしたっけ?』
俺は黙ってエリローズの話を聞く。
『ラグア様が私の夢を理解してくれた様に私もラグア様の為なら…。それにミグにもあのクソガキにも、はじめてできた私の大切な弟を殺すだの封印するだのなんか………絶対に許すわけがないでしょう!!』
『待てやっ、クソアマっ。お前を殺すのは俺だって昔言ったよな?おいっ!!』
『時間切れみたいですね。ラグア様最後のお願いです。なんとかラグア様の中に意識だけは繋ぎ止めましたが、完全に融合するのは時間の問題…もってせいぜい3年でしょう…それまでに私の夢叶えて下さいね…』
エリローズは消え入りそうな声で言った。
『あ?自分でやれや。ついでにてめえを殺すのは俺だ。勝手に死んでんじゃねーぞ?次にする事は決まったな?だがその前に…』
俺は神通を切断してジジイとミグに向き直る。
「ゴミ掃除をはじめるぞ?クソアマっ、俺にたてついた奴がどうなるかよく見とけや?」
俺は邪悪な笑みを浮かべながら言ったのだった。




