閑話とある落ちこぼれ魔王のお話
今日の更新はここまでにして寝ます。
皆さんおやすみなさい。
私の名前はミュン・ゾフィス。
13魔王内序列第4位ミュラ・ゾフィスの妹で私自身は魔王順位15位の野良魔王である。
私は一応、第二世代の魔王だが1000万年近く生きてるにもかかわらず、吸血鬼の固有スキルの不老で生き続けただけの無能である。
魔王になったのも最近で約3000年前である。
姉や第二世代のみんなは私には私のペースがあるんだから気にしなくていいと言うが、才能の塊の様な他の第二世代のみんなに言われても素直に頷けない。
姉や他の第二世代のみんなと、私には絶対に埋まらない才能の壁がある。
神魔大戦の時は生まれて間もなかった私を姉達は守ってくれた。
もちろん感謝はしている。
だがやりきれない気持ちはやはりある。
私だって1000万年近く遊んでいたわけではない。
だが、姉や第二世代のみんなが帝級スキルにまで至った時に私は王級スキルすらもっていなかった。
1000万年近くためこんだ大量の通常スキルと固有スキルは私が落ちこぼれだということを表している気がして私はステータスを見るのが嫌になった。
約3000年前、私がようやく王級スキルを得て魔王の仲間入りをした時は、姉も第二世代のみんなも自分の事のように喜んでくれた。
〜
先日、第二世代の魔王のミグ・ヒピーが遊びにきた。
ミグは「なんか めんどくさい会議だったよー。
新しい魔王なんかどーでもいいじゃん。
ミュンちゃんもそう思わない?
ミュラっちはちょっと真面目過ぎるんだよねー。
てかミュンちゃんも会議くればよかったのに、どうせつまんないんだからミュンちゃんいた方が楽しいしさ」
と言っていたが、新しい魔王は私達13魔王にも入れない野良魔王にとってはミグが言う様にどーでもいい事ではない。
会議の話もいける訳がない。
13魔王でもない自分が会議に出るなど場違いにも程がある。
その事をミグに伝えると「ミュンちゃんもミュラっちに似て真面目なんだねーやっぱ姉妹って似るんだね。
てかミュンちゃんに文句言うヤツなんかあたしがぶっ殺してあげるから大丈夫だよ?」
ミグはそんな風に言うが、この子供みたいな性格の年上の友人には私達弱い者の気持ちなどわからない。
彼女は性格は子供の様だが、その能力は第二世代でも最強で魔王順位4位の自分の姉をも凌駕する。
ただ本人が「めんどくさい事やりたくないからミュラっちよろしくー」の一言で今の序列にいる。
それに、姉や他の第二世代のみんなから溺愛されているためか、直接自分に何かしたり、文句を言われたりした事はないが、影では1人じゃ何もできない第二世代の恥と言われている事は知っている。
正直悔しい。
もちろんミグにそのことを言えば明日にはその魔王はこの世から消えているだろう。
だが、私にもプライドがある。
絶対にそんなことはしたくない。
ミグが帰った後に1人そんな事を考える。
ミグが帰ったあとに13魔王内序列第8位ゼブル・ガイウスがやってきて、新しい魔王の事で何かわかった事があったら教えて欲しいと言う。
私は正直この魔王は苦手だ。
13魔王に所属している以上、力では敵わないのは当然だが、何より話していてここまで考えのわからない、何を考えているかわからないヤツにあった事はない。
ゼブルが帰ったあとの事だ。
3000年かけてコツコツ上げていた私の魔王順位が下がったのは。
私はこの事を誰かに相談しようかと思ったが、全く信用できないゼブルに伝えるのは気が引けたし、かと言って羽毛よりも口が軽い、ミグに相談するのも気が引けた。
そもそも、たまにはみんなに頼らないで自分の力だけで頑張ってみたい。
私は鏡を見る。髪の色や顔形はよく姉に似ている。
だが中身はまるで違う。
私は自分の事が大嫌いだ。
幸い私の約1000万年集めた無駄スキルの1つに広範囲警報というのがある。
それは、世界中に散らばる自分以上の強さのものの場所を教えてくれる能力。
今、魔王側、人間側あわせても自分以上の力を持つものはそれほど多くはない。
一つ一つあたってもそれほど時間はかからない。
自分だけの力で新しい魔王を味方に引き込めれば姉達も少しは見直してくれるだろう。
私は、吸血鬼特有の蝙蝠型の翼を広げると大空に飛び立った。
まだ見ぬ新たな魔王へと向かって。
次回から本編に戻ります。




