第277話白と青7
〜ゾフィス夜王国、地下5階〜
時は少し遡る。
俺とミグは数度の激突の後、お互いに距離をとって向かい合っている。
本体を通してこちらに入る情報によると、状況は最悪ではないが微妙なところだ。
エリスの方はシーラから攻撃を受けてしまったが、シオンにより一気に形勢はこちらに傾きはじめている。
まあ、シーラは正直仕留めても仕留め損なってもどっちでもいい。
どうせ仕留めてもミグのスキルで復活するのは、一つ上の階で俺の無限分裂に殺され続けているギゼル達が証明している。
もしエリスが負ったダメージがシーラを倒さない限り治せないものだったら無理にでも殺す必要があるが、たかだか中級神ごときの神級スキルを解除するのはオリジンゴッドの俺ならどうにでもなる。
俺は現状の戦力でのこれ以上の作戦の遂行は無意味と判断して、本体を通して森羅万象を発動させる。
優先的に引かせるのはまずはエリス達だ。
「あれ?上の連中を退かせるの?もうちょっと遊ぼうよ?ラグア」
ミグの分体は言った。
「いくらでも遊んでやるよ。俺は残るしな?」
エリス達を森羅万象に戻す事に成功…
続いてアルムスのプロトクローン120人に森羅万象をかける。
「地上の雑魚共も退かせる?どうゆう事?………ラグア、まさかお前っ!?」
プロトクローンの森羅万象成功を確認…
「もうおせーよ。ただのゴミと雑魚を俺が選別してやるよ」
ミグも俺の狙いに気づいたようだ。
セリーの能力で一瞬でいくらでも量産できるアンデットはもともと森羅万象の対象に入っていない。
俺は分体の右腕に力を集中させる。
ちなみにこの場合の分体と言うのはミグと向かい合っている分体だけではない。
上の階にいる無限分裂している分体も含めてだ。
「アルムスごと吹き飛べやっ!!」
俺は全ての分体の右腕に集めたエネルギーを地面に向けて解放する。
帝級スキル、土星帝による無限分裂を合わせた全力の超新星爆発…
その威力は俺がかつて亜空間でミグから受けたマ○ンテの連発に並ぶ…
エリス達を引かせたのは万が一にもフィリアがダメージを受けない為だ。
さすがにエリス達は無傷だろうが、帝級クラスのフィリアにこの技はマズイ…
そして全員を逃がしたのは誰を退かせるのが目的か悟らせない為…
プロトクローンを退かせたのはミグがまだ気づいてないようだったから、ダメ元でやってみたが成功した。
まあ、さすがにそこまでやればバレたようだがな…
「!?っ、発動、次元の帝っ!!」
無駄だ。
分体1人ならまだしも無限分裂した俺を全て止められる訳ねーだろ。
確かミグの仲間や配下には王級クラスやそれ以下も多いはずだ。
そいつらは当然ミグのスキルで復活できるが、果たして復活したところで宇宙空間で長時間生きられるのはどれだけいるだろうか?
その時だ。
俺の超新星爆発が唐突に全て消え失せる。
俺は目的の達成を確信した。




