第272話白と青2
〜ゾフィス夜王国、地下4階〜
「あ?お前等誰だ?」
俺の目の前には2人…
いや、1人は人型ですらねえから人と呼ぶのすら怪しいのだが…
ただの黒い霧…
そんな感じの見た目だ。
「悪いけどコイツは喋れねーから俺が代弁する。まあ俺達を覚えてねーのも仕方ないか。お前らみたいな雲の上の神サマ達は、俺達みたいなゴミなんかいちいち覚えてねーわな?」
もう1人の存在…
白銀の髪に褐色の肌のイケメンはそう言った。
「あ?マジで誰だ?敵対者は皆殺しが俺のモットーだぞ?」
「全く本当になんで俺達がこんな化け物の相手をしなきゃなんねーんだよ。同じ時代を生きてても俺達はミグやシーラとは違うんだよ」
その言葉で俺はようやくコイツらの正体がなんとなくわかった。
「ミグが生き返らせた化石共か。たしかジジイにイグロシアルにぶっ飛ばされて殺し損なったな。まあいいや。死ね」
俺はそう言いながら横薙ぎに触手を一線する。
「おいおい、せめて名前ぐらい聞けよ?発動、帝級スキル、霊帝」
俺の触手は褐色の男に迫るがなんの手ごたえもないまますり抜ける。
そのままの威力で黒い霧のヤツも一線するが、やはりなんの手ごたえもない。
俺の触手はそのまま地下の壁にぶつかり、当たった部分から先とその上部を吹き飛ばす。
触手の先には青空が広がっている。
クソっ、めんどくせーな。
おそらく帝級スキルだろうが、今の俺は分体の為、鑑定が使えないから詳しくはわからない。
「分体でなんのスキルも使わずにこの威力…マジで化け物だな。興味もないかもしれないが一応名乗らせてもらおう。俺はギゼル・ファストム。これでもゴースト系最強を自負してる。隣のコイツは喋れないから代わりに言うがミストっていう」
ギゼルとか言うヤツがどうでもいい情報をまくし立てる。
さて、どうする?
一応コイツらは帝級クラス…
セシル達には荷が重い。
捨て駒にする可能性はあるとはいえ、さすがにここで使うのはただの犬死だ。
だからと言って、ここで更に配下を投入するという選択肢ははじめからない。
現在シーラと戦っているエリスは万が一、エリスが押されたとしても、残りの神級を投入すれば勝てるだろうし、最悪やりたくはないが、俺の本体を含めたオリジンゴッド全投入すれば例えジジイが来ようともエリスと投入した神級を回収する余裕ぐらいはある。
だが、戦場が増えれば俺の本体のカバーも薄くなり間に合わなくなる可能性だってある。
戦力の分散ははっきり言って悪手以外の何物でもない。
俺は考える。
捨て駒にしてもよくてなおかつコイツらを殺せるだけの戦力…
いるじゃねーか。
「発動、帝級スキル、不滅の帝、無限分裂」
そして導き出したその答えは俺自身だった。




