第267話魔王リーゼ・エルライド2
「リーゼ様、申し訳ございません。ラグア様のお言葉は何をおいても優先されるので、そのご命令には従えません」
セリーは深々と頭を下げてリーゼに断った。
その言葉を聞いたリーゼの行動は素早かった。
「発動、王級スキル、氷王、アイスマシンガン」
新たに獲得したリーゼの王級スキル、氷王…
氷の完全制御、氷雪系の事象のかなりの割合を操るスキル…
もちろんリーゼもライナー達を殺すつもりはない。
とゆうか実力が大きく劣る自分では、ライナー達を殺せるなどとは思っていない。
一瞬でも怯めばいい。
それだけの考えだった。
だが…
ライナー達は怯むどころか跪いた体制から全く動かない。
そしてそのままアイスマシンガンの直撃を受けるがアイスマシンガンはライナー達に当たった瞬間に消滅する。
「リーゼ様、俺達帝級クラスは王級スキル程度ではダメージにもなりません。ではラグア様に許可をいただいてますので、強制転移をかけさせていただきます。そういえばセリーそこの三人は?」
「2人はリーゼ様の配下で、もう1人はラグア様に話を通す必要がある」
「なら全員連れて行った方がよさそうだな」
ライナーは言った。
「やだーやだーいやだー。ライナーはわかってないんだよ。リーゼは知ってるよ。パパに怒られて真っ白になってたウリンとか…。リーゼは廃人になりたくないっ!!」
「申し訳ございません。ラグア様のご命令ですので…」
「ライナーぁぁ!!てめえぶち殺されてえのかぁぁ!?」
いきなり豹変したリーゼにライナーは背筋に冷たいものを感じた。
実力ではライナーの方が圧倒的に上だ。
だが、リーゼから放たれる濃厚な殺気はライナーの生物としての本能に恐怖を与える。
やっぱりラグア様の娘なんだな…
ライナーは思った。
「では強制転移」
「上等じゃあぁぁ!!死ねぇぇぇ!!」
リーゼが千手観音モードを展開して一歩踏み出した瞬間にリーゼ達は強制転移されるのだった。
〜エルライド城、玉座の間〜
「死ねぇぇぇ!!」
「あ?リーゼ。誰を殺すって?」
「え?パパ!?」
その瞬間リーゼは我に返り、そのまま真っ青になる。
「パパ久しぶりっ。戻ったばかりだけどリーゼはちょっと用事が…」
「まあ待てや。お前には話がたくさんある。ちっとぐらいゆっくりしてけや?」
俺は逃げようとするリーゼの首根っこを触手で掴みながら言った。
「ライナーぁぁ!!てめえリーゼにこんな事してタダで済むと…」
「ライナーは俺の命令で動いてんだよ。てかお前やっぱり俺の娘なんだな…」
俺はリーゼを見ながらしみじみ思うのだった。




