第260話龍王星侵略戦2
「七曜の神、火、炎神の斬撃」
神格エネルギーを纏わせたソドムの一撃だが、無論エリスにもシオンにも届かない…
悲しい事に戦力差は歴然だった。
「発動、ゴッズギフト、星天の神国」
「発動、ゴッズギフト、蛇使いの神国」
フィローラのゴッズギフトにより、昼間にもかかわらず空は星に埋め尽くされ、バルトのゴッズギフトにより超竜の代わりに龍王星を無数の蛇達が埋め尽くす…
余談だが、イグロシアルの特に九天は最高神ウルドナートに関係したゴッズギフトが多い。
まあ、もちろん全てではないのだが…
フィローラのゴッズギフト、星天の神国はウルドナートの概念、十二星座の劣化版である。
もっとも概念には敵わないとしても神級クラス…
その有用性はかなり高い。
そしてバルトのゴッズギフト、蛇使いの神国…
十三番目の星座と言われるこれは、フィローラとは違いその力は局所的だが、一体一体能力が違う神の力をもった蛇達の力は計り知れない。
「ちっ」
ソドムはそんな2人を見て大きく舌打ちをする。
普通に1対1で戦っても倒しきれるかどうかわからない相手…
それが4人…
勝てる訳がない。
ソドムは選択を迫られる。
〜約30年前〜
「あたしの力で初代ラグアを生き返らせてほしい?」
「ああ、頼む」
その日ソドムはプライドをかなぐり捨ててミグに頼み込んだ。
「いいよ。その代わりその生き返らせた初代ラグアの神格エネルギーは必要最低限を残してあたしがもらうよ?」
「ふざけるなっ、そんな事許容できるかっ!!」
ソドムは叫んだ。
「無駄だよ。これはミュラっちも知らない事だけど、黄泉の神の真骨頂は、生き返らせた相手の生命力をいつでも引き出せる事にある。つまりは初代ラグアの場合は神格エネルギーを…。まあこの力に目覚めたのはつい最近で一度生命力を引き出した相手からは二度と引き出せないんだけどね?」
ミグはなんでもない事の様に言った。
「それではラグア様は…」
「うん。神格エネルギーが枯渇寸前のウジ虫みたいな神が出てくるだけだね」
「貴様ぁぁぁぁぁ!?」
ソドムはミグに掴みかかろうとするがミグはそれをなんなく躱す。
「昔ならともかく今のお前はあたしには勝てないよ?それ以前にあたしの力で生き返ったお前の生殺与奪権もあたしが握ってる事を忘れてないかな?あたしはお前からはまだ生命力を奪ってない。つまり全て吸い付くす事もできるんだよ?」
「だが…」
「まあ、あたしもさすがに会った事のない相手は生き返らせる事はできない。黄泉の神を使って初代ラグアを生き返らせるには、あたしの能力とお前の記憶が必要不可欠だよ」
「それは…」
「そう。お前の協力がいるんだよ。ミュラっちの話だと、ラグアはあたしを殺した時にオリジンゴッドになった。おそらく今回であたしもオリジンゴッドになれる。まあゆっくり考えなよ?あっ、くれぐれもミュラっちには内緒だよ。それからもしそれをする気があるなら…」
ミグはそこで一度言葉を切る。
「せめてものお礼に一度だけお前に協力してあげるよ」
ミグは最後にそう言った。
〜〜〜
使う。
もうそれしか方法はない。
これは主人に対する不敬になる。
生き返らせた主人は死にかけに等しい。
それに自分も現状ミグの奴隷の様な状態で出来る事はかなり限られてくる。
だがそれでもここで自分が死ねば、主人の復活するチャンスを永久に失うかもしれなかった。
使う。
ソドムはそう決意するのだった。




