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第256話アルムスクローンパニック9


セリーの転移でプロトセリー、リーゼ、セリーの三人はアルムスへと降りて行った。

プロトセリーももちろん転移は使えるが、技量はセリーの方が遥かに上だ。

それでも失敗する事はないが、今回はラグアの娘であり、王族であるリーゼが同行している。

セリーが転移を使うのは当然だった。


リーゼ達が部屋に入ると、プロトエリスとプロトライナーが椅子から降りてその場に跪く。


「「リーゼ様、セリー様わざわざご足労いただき申し訳ございません」」


「別にいいよ。それで?状況は?」


リーゼは言ったのだった。




リリスの目の前には新たに現れた幼女とプロトセリーと呼ばれた存在にそっくりな女が座っている。

おそらくあれがセリーという幹部なのだろう。

プロトセリーと呼ばれていた存在とは圧倒的に格が違う。

自分ではどうあがいても勝負になるような次元ではない。

それほどの力を女からは感じる。


対して幼女の方は力自体は大した事はない。

おそらく自分の配下の幹部クラスの力は持っているだろうが、この中では一番弱い。

だが、先程のやりとりを見る限りこの中でもっとも発言力を持っているのはこの幼女だろう。


真っ白な髪と特徴的な赤と青のオッドアイ…

ラグアを彷彿させる整った顔立ち…

そしてこれまたラグアを彷彿させる、瞳の奥に見える残虐性…

コイツはおそらくラグアの血縁者…

だとすれば迂闊な対応はできない。

リリスは気を引き締める。


「ふーん、なるほどこの人、同盟を組みたいんだ。でもさプロトセリー。パパの命令はなんだっけ?」


リーゼは何気なく言ったつもりだったが、その言葉でプロトセリーは真っ青になる。


「もっ申し訳ございませんっ。すぐにラグア様の命令を遂行致しますっ!!」




マズイ…

何か言わなければ…

このままでは自分は消されてしまう。

それに先程のパパという単語は聞き間違いではないだろう。

ラグアの娘…

それならコイツらがこれ程気を使う理由も頷ける。


リリスは言う。


「お待ち下さいっ、こちらに敵対の意思はありませんっ!!」


「えーっと、リリスだっけ?リリスに敵対の意思はなくても残念ながらリーゼ達にあるんだよ?ほらパパもよく言うじゃん?選べ、降伏か死か?」


リーゼは無邪気な笑みを浮かべたままそう言い放った。


その言葉でリリスの顔は完全に絶望に変わるのだった。



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