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第253話アルムスクローンパニック6


「プロトセリー、向こうも斥候を送ってきたみたいだぜ?殺すか?」


プロトライナーは言った。


「いや、泳がせておけ。こちらの斥候も今帰ってきた所だ。城内にいるのは約1万の軍勢と魔王リリス・ヘヴンか。城を包囲しているアンデットはそのままに、私達はそれぞれ500程度の手勢を率いて出るぞ」


「それはさすがに少なくないか?」


そう疑問を口にしたのはプロトエリスだ。


「戦いは城内だ。大軍で攻めても邪魔になるだけだ。なら逃がさない様に包囲しておくのが得策だろう。それに事前に聞かされた情報によると、魔王リリス・ヘヴンは王級クラス…王級同士の戦いに大軍など何の意味がある?」


「そうだな。わかった」


プロトセリー達は進軍を開始した。



〜〜〜


「リリス様、斥候を捕らえるのに失敗致しました。アレは確実に自分達側近クラスの実力はあるかと…」


「よくもぬけぬけと…」


リリスは怒りをあらわにしながらも考える。

暗黒王の発動にはまだもう少しかかる。

暗黒王が発動すれば自分の生存率も大幅に上がるだろう。

だが、この様子ならもう2つの王級スキルも先に発動した方がいいかも知れない。


その時、部屋の扉が開いた。

その者は自分が斥候に出した者だ。

普段なら無礼だどうだと騒ぐところだが、今は非常事態なのでそんな余裕はない。


「状況は?」


「斥候の帰還を見計らって、敵軍は包囲を残したまま指揮官クラスの三人が少数を率いてこちらに向かっております」


「指揮官の特徴は?」


「三人共おそらく王級クラスかと、茶髪の女、剣を装備した茶髪の男、青髪の小柄な女…見た目は人間ですが、アンデットの部隊を指揮しているところを見る限り人魔の可能性が高いかと…」


リリスはその報告を聞いて固まる。

茶髪の男女…

青髪の方は知らないが…

いや、予想が当たっているならその正体は…

リリスは思い出す。

数十年前、自分の軍勢をたった三人で叩き潰したラグアの幹部…

その内二人に特徴が一致する。

元魔王のフィリムとか言う女はいない様だが、それでもあの時の三人のうち、二人揃っているならラグアの軍勢と見てほぼ間違いないだろう。


ちなみに正確にはリース森林国でのリリスとの戦闘時にはセリーもいたのだが、セリーはこの時ラグアの命令でカティアの護衛についていた為、リリスは知らなかった。


リリスは思う。

最悪だ。

どうして自分ばかりこんな目に…


リリスは部下達に釘を刺す様に言う。


「…何があっても絶対に攻撃はするな。すぐに和平の使者を送れ」


「はっ」


部下達はすぐに準備をはじめる。

昔の自分を知っている部下達なら、信じられない顔をされただろう。

リリスはそんな事を自重気味に思いながら和平の使者を見送るのだった。

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