第243話リーゼ・エルライド
「リーゼの為にありがとうパパ。パパ大好きだよ。リーゼ、パパとは仲良くなれると思う」
俺と仲良く?
別に前世も友達がいなかった訳じゃねーが、素の俺を知ると皆、異常者として距離をおいた。
ヤクザや半グレでさえ、俺とは必要以上の関わり合いを持ちたがらなかった。
それはそうだ。
頭のネジがイッてる快楽殺人鬼と親密になりたいヤツなどいない。
だが、コイツには俺と同じ匂いを感じる。
この世界でも何人かそうゆうヤツには出会ったが、全て敵同士だった。
やっとわかり会える同士に会えた。
そう思うと俺は急に嬉しくなった。
「ほんの少ししか話してないが、俺も同意見だ。ついて来い」
そう言って俺はリーゼを地下にある俺のプレイルームに促す。
数時間後、プレイルームから出てきた俺と目をキラキラさせたリーゼはもう既にすっかり打ち解けていた。
〜〜〜
ラグア達がリーゼと地下にこもっている頃…
エリローズはエルライド王国近郊にいた。
イグロシアルから出てない以上、不測の事態が起きてもいくらでも対応できる。
これならラグアから文句がでる事はないだろう。
エリローズは目の前…
具体的には何もない場所に向かって言う。
「テオレーム、そこにいますね?出てきなさい」
「はっ、エリローズ様っ!!」
何もない場所からテオレームが現れる。
エルライド王国内に入ったならまだしも、全力で警戒している状況でなければ、そこにいるテオレームの存在に気づけるのは、エリローズだけであろう。
「ふふふっ、分体で来るとは…あなたも変わりましたね。別に邪魔をしないならいいですよ?」
エリローズのその言葉は言外に、自分の邪魔をしないなら好きにしろと…
つまり無理に自分につく必要はないと言っている。
「いっいえっ、分体で参るのは大変失礼なのはわかっていますが、今の俺はまだエリローズ様のお役に立てる程の力はありません。もう暫しお待ち下さい。必ずやエリローズ様のお役に立てる力を得て戻って参ります」
「そういえば今日の会議の後にラグア様が、「喜べ、お前を殺すのは俺だが、お前の望みはお前の生きてる内に叶えてやる」と言ってましたが、どうゆう事でしょう?あなたに戻る気があるなら、ラグア様のその計画が動き出す前に戻ってきてほしいですね」
エリローズの読心ではもはやラグアの考えは完全には読めない。
数字の上でのオリジンゴッドの力は同格なのだから当然だろう。
普段のラグアの考えが読めるのは、ラグアが思考を垂れ流しにしているからだ。
本気でラグアが隠そうとした思考は読めない。
テオレームはラグアの名前が出て、複雑な表情になるが言う。
「わかりました。近いうちに必ずやエリローズ様の元へ戻ります」
そしてテオレームの分体はその言葉と共に消えていくのだった。




