第235話神界4
俺の言葉にウルドナートは一瞬押し黙る。
だがこれは例えそれで交渉が決裂しても譲るわけにはいかない。
現在、一般的なオリジンゴッドを…まあ、一般的なオリジンゴッドというのも変な話だが、その神格エネルギーを100と基準にした場合の俺の本体の神格エネルギーは約200…
対するエリローズ、そしておそらく同格のウルドナートは約300…
そして俺がアルムスから追い出された時点の、あのクソジジイは約500…
まあ、不滅の概念があれば死ぬ事はないが、今のところ俺はオリジンゴッドの中では最弱だ。
しかも不滅の概念は特殊で概念としての力は使えない。
実際別の概念持ちの俺と同格のオリジンゴッドと戦えば俺は負けるだろう。
だが、それは本体だけの話だ。
今使ってる身体…
つまりこの分体をオリジンゴッドまで育てあげてから吸収すれば、俺はエリローズ達に並ぶ。
だが、このまま状態でアルムスに行き、最高神のクソジジイを殺せばエリローズとウルドナートの力は更に増す。
それは避けなければならない。
最低でも三竦みぐらいの力が無ければ、いずれ確実にエリローズにやられる。
不滅の概念があれば死にはしないとかそうゆう問題ではない。
不死身のウジ虫がいたところでやり様はいくらでもある。
俺は素直にはいそうですかとこの話を受ける訳にいかなかった。
ウルドナートは言う。
「ボクだけの力では厳しいけど、君たちと協力すれば君たちをあのクソジジイの宇宙に返す事もできるよ?」
つまりアルムスに戻れる?
いや待て、まだ足りない
「論外だな。それはお前をここで殺しても結果は同じだ。なあ、エリローズ?」
「確かにそうですが…」
エリローズは答えた。
エリローズはおそらく俺に隠してる力もあるし、単純な戦闘能力では俺は絶対に勝てないが、基本的にバカと言うより思考が短絡的だ。
どうしたらどうなるかではなく、どうなったらどう叩き潰すかでほとんどの場合解決する。
まあ、だから俺が咄嗟の問いにこうゆう発言が出てくるのだが…
エリローズの立場ならここは嘘をついてでも…「私達では無理ですね。ここはあの人に任せてみません?」と言うのがベストのはずだ。
俺はウルドナートの方を向き直る。
ウルドナートは言う。
「………わかったよ。ボクも協力してもらう立場だ。譲歩できるところは譲歩しよう。具体的には君の…おそらく分体だろうけど、それをオリジンゴッドにしてあげると言うのでどうかな?さすがに少し時間はかかるけどね?まあ、さすがにこれで受けてくれない様ならボクも君たちと全力で構えるしか道はないんだけどね…」
ウルドナートの身体からオリジンゴッドの圧倒的なオーラが溢れ出す。
「わかった。交渉は成立だ。あとは具体的にどうやるのかいろいろと聞きたい」
俺は言った。
まあ、これが限界か。
あわよくば配下の神を全て餌にするつもりだったが、それはさすがに無理か…
俺はそんな事を考えるのだった。




