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閑話とある魔王のお話


ここは常夜の城。

13魔王内序列第4位、吸血鬼系最強の魔王ミュラ・ゾフィス。

彼女の能力により、この城に朝が来る事はない。

魔王まで登りつめた彼女は、今さら日の光などなんともないが、やはり夜の方が過ごしやすいのは、吸血鬼としての種族故の事だろう。


その時、魔王ミュラ・ゾフィスは城にある自身の個室で寛いでいた。

だが !?

唐突に感じる波動。

固有スキル魔王によって分かる、魔王の絶対数の増加。

それが意味する事は、約300年振りの新たな魔王の生誕。

魔王ミュラ・ゾフィスは立ち上がる。

そして部下に命じる。

すぐに13魔王に召集をかけるように。

現在の13魔王を実質的に仕切っているのは、彼女である。

13魔王を造ったのは、13魔王内序列第1位、亜神テオレーム・クリムゾンだが、既に興味を失っており、彼女自身ここ数万年会っていない。

テオレームに限らず、13魔王内序列第2位、人魔王、ロロ・ベアトリクス、13魔王内序列第3位、龍魔王、ソドム・グラファルにも同じくらいの期間会っていない。

彼等は、この世界の創世記から生き続けている、生ける伝説で、この世界の創造神以外で、神級スキルを持っているのは、彼等だけである。

おそらく彼等は、今回も来ないだろう。

新たな魔王など、彼等にとって戯れ事に等しい。

余談だがミュラは、13魔王に属していない他の8人の魔王全員とあった事があるが、所在を把握しているのはその内3人である。

13魔王の所在は全員把握しているが、あの夜空に浮かぶ三色の月、それぞれ赤、青、緑の月に先程話に出た上位3人の魔王がいるのは、もはやスケールがでかすぎて笑い話だろう。

とにかくミュラは、新たな魔王の所在を確かめるために情報を集め続ける。

エルライド王国で強力な魔物が発生したらしく、もしや?とも思ったが、地方貴族ごときに倒される魔王などあり得ない。

そんなものは自らの配下よりも劣る。

ミュラ・ゾフィスは月光を反射し、真紅に輝く瞳と髪を振り払うと、その見た目は14歳程の美少女の顔を凶悪に歪め、これから来るであろう自分と同格の客人に久しぶりに会えることに笑みを浮かべるのだった。


ここはこの世界のどこかにある、13魔王が会議をする

ためだけにある部屋。

長方形の大きな机にある席は全部で14。

ミュラは13魔王に入って数百万年が経つが、一度として、最も上座の一際目立つ席に、座ったものを見た事がない。

彼女はそんな事を思いながら、自分の席4席に座る。

そうこうしている内に、10人全員が揃う。

上位3人は一応声はかけたが、今日も欠席だろう。

ミュラは開口一番に会議の趣旨を告げる。


「皆に今日集まってもらったのは、皆知ってると思うが先日、新たな魔王が誕生した。妾だけ勝手に動くと言うのも無粋と言うもの、皆の意見が聞きたい。」


彼女の言葉に対する、魔王達の反応はさまざまだが、13魔王は魔王内順位、上位13人の寄せ集め、決して一枚岩ではないし、変わりものも多い。

ミュラには、このまますんなり会議が進むとは思えなかったが、この場にいる最上位の魔王として、現13魔王議長代理としての、責任を果たすため他の魔王達に意見を求めるのだった。

次回は13魔王全員の紹介から入ります。

その後もう1話閑話を挟んで本編に戻ります。

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