第206話再び九天の宴6
ついに揃った。
大口叩いたケルティカのエンペラーギフトはたったの2つで、しかも1つは付与の帝国だが、もう一つあれば十分だ。
ケルティカのもう一つのエンペラーギフトは反転の帝国…
反転の概念のほんの一部を利用できるこのギフトは、帝級クラスとは言えはっきり言って強いが、今となってはどうでもいい。
所詮は帝級クラスだ。
エリスの原子の神には手も足も出なかった。
そんな事より…
おっ。
きたきた。
体が熱くなる。
分体のせいか今までより苦痛は感じないが、神格化がはじまったようだ。
3つある付与の帝国のうち2つは神格エネルギーに変換してと…
クソっ
ぎりぎり中級神止まりか…
付与の帝国、変換効率悪いな。
そして今回の神格化で得たのはゴッズギフト、刻の神国…
効果は万物の神に匹敵する程のチートだが、今はいいや。
俺がそんな事を思っているとゼオンが言う。
「まさか倒した相手のエンペラーギフトを奪えるとは…と言うか今神になりやがった」
あっ、やべっ。
神通や神託を持ってないと帝級スキルやエンペラーギフトを奪えない事忘れてたわ。
と言うかゼオンのあの言い方どうゆう意味だ?
俺は思った。
ちなみに俺のこの力はフィローラやゼオン、テオレームやロロの様な神級が神になってからの特権だ。
神になれば大抵の事はできるが帝級クラスまではかなり制限は多い。
俺がどう返そうか迷っているとフィローラが割って入る。
「我はこれでラグア様は名実共に九天の一位に相応しいと思うがどうだ?ゼオン」
その言葉にゼオンは突然笑い出す。
「ククっクハハハハハハハっ…お前バカか?」
フィローラはゼオンに怪訝な目を向ける。
「フィローラ。お前ほんとに変わったな?そこまで腑抜けちまったとは思わなかった。たった今神になったヤツを九天の一位?笑わせるな。お前がどれだけ腑抜けちまったのか教えてやるよ」
ゼオンは観客席にいる九天達を見渡す。
「問う。イグロシアルの頂点に君臨する九人の覇者達よ。いや、一人今死んじまったから八人か。オレは腑抜けちまったかつての戦友も今一位に座っているラグアとか言うヤツも気に入らねえ。九天の一位、そこに相応しいのはラグアでもそこの腑抜けでもねえ。オレだ。オレは今からラグアとフィローラに戦線布告する。ラグアにつくものはそこに残れ。オレにつくものはオレのところへ来い」
ゼオンは言い放った。
なるほどそうゆう事か。
俺はニヤリと笑う。
ゼオンのその言葉にほとんどの九天達はゼオン側に動き出す。
ラグア、フィローラ、そしてバルトは当然の様に動かない。
ルルは迷っていた。
元々はラグアにつく予定だった。
だが、これはさすがに…
「4対4か。面白くなってきたじゃねーか」
ゼオンは言った。
ルルは思う。
マズイ…
考えてる間に九天達は2つの派閥に割れてしまった。
そして自分はラグア、フィローラ、バルトの陣営にカウントされてしまっている様だ。
ルルは自分はまだ決めてないと言おうとするが、ラグアが先に口を開く。
「下級魔神クラスごときが俺に戦線布告か。なめられたもんだ。上等じゃねーか。誰にたてついたのか後悔させてやるよ」
ラグアとゼオンからは濃厚な殺気が溢れ出す。
ルルは思う。
完全に言える雰囲気ではなくなってしまった。
そんな空気の読めない事をすれば両陣営にこの場で八つ裂きにされる。
「新参者が言いやがる。せめてもの情けだ。オレ達は明日から侵攻する。ラグア、最後の晩餐ゆっくり楽しめよ」
こうして、九天達が真っ二つに割れた事で九天の宴は強制終了するのだった。




