第202話再び九天の宴2
ドカッ
俺は一位の席に当然の様に座る。
後から入ってくる面々はそんな俺を見て驚愕している。
そしてそれは元々部屋にいたバルトも同様だった。
だが、バルトのそれは驚愕と言う名の喜びでもあった。
やはり僕は間違っていなかった。
バルトは思った。
ちなみにフィローラは俺が一位の席に座っているので、必然的に二位の席に座る。
そしてそれを見たバルトが三位の席から立ち上がり、四位の席に座り直す。
そんな中、後から来た九天の1人は言った。
「おい、フィローラ?席間違えてんぞ?そこはオレの席だ」
男の名はゼオン・ヴェルゾアス。
九天内序列第二位にして、ラグア以外でフィローラに敬称をつけない唯一の存在…
そしてそれは彼が限りなくフィローラに近い実力者である事を示していた。
大魔王、ゼオン・ヴェルゾアス…
実にイグロシアルの約半分を支配する大魔王…
フィローラに対しこの様な物言いができる数少ない存在だ。
フィローラは答える。
「ゼオン。我の席はここで間違いない。其方の席は…」
フィローラは目線で三位の席を促す。
その時だ。
突然、ゼオンが笑い出す。
「クククっ、クハハハハハハっ、こいつは傑作だ。フィローラ、てめえいつの間にそんな腑抜けになっちまったんだよ?かつてオレと世界を二分したお前はどこに行ったんだ?」
「なんとでも言うがよい。我は其方とは違うとだけ言っておこう」
「ちっ、ウルドナートの犬がっ。まあいい。ラグアだったか?フィローラが認めてる以上、とりあえずは認めてやるよ」
そう俺に向かって言い、ゼオンは三位の席につく。
にしても…
フレストと違い、思ったよりすんなり俺の事を認めたなアイツ。
俺は思った。
まあ、ここで俺に突っかかってくるようなら前回も突っかかってきただろうしな。
まあ、フィローラと同格程度なら、神格化さえすればどうにでもなる。
俺がそんな事を考えていると、エリローズが喋るなと言ってあったので、神通を使い直接語りかけてくる。
『いえ、実力を隠している様ですが、フィローラよりは確実に強いかと?私の力で見る限り上級神…それも下級魔神一歩手前ですね』
は?
いや強くね?
この世界の最高神アルムスより弱いんじゃなかったの?
なにそれ?
下級魔神ってたしかミグでさえ上級神だったよな?
いや、黄泉の神の無限自爆がある以上ミグの方が強いけど、それでもさ?
俺は思った。
『しかも、かなりの戦闘特化型みたいですね。あそこまでの神格エネルギーを持ちながら、ろくに神の力も使いこなせない神なんかラグア様以外ではじめてみましたよ。だからこそラグア様の本体の実力にも気づいてないようですね』
うるせえっ。
俺はできねーんじゃなくてやらねーだけだわ。
ん?
俺がバカと神通で話してる間に全員揃った様だ。
「皆、本日は我の招待に応じてくれて我は嬉しく思う。ラグア様も今日は我が歓迎致しますので、どうかごゆっくりと。ではこれより宴をはじめよう」
フィローラはそう宣言したのだった。




