第178話モルエデス神国侵略戦2
俺達は神都の前に転移した。
その時だ。
閃光…
一直線にこちらに向かって来る光…
威力ははっきり言ってゴミ…
あんなのじゃ、エリローズどころか俺の分体にすら、傷一つ負わせられない。
だが、防がないとタリスは死ぬんだろうな。
しゃーない。
俺は帝級スキル、土星帝で防壁を張って閃光を防ぐ。
「さあ、楽しい楽しい虐殺のはじまりだ」
俺は閃光の放たれた方向に向かって、高速で進む。
〜〜〜
バカなっ
何故生きている?
何故無傷なのだ?
モルエデス神国、国王、フォボス・モルエデスはこちらに超高速で向かってくる。白い人物を見ながら唖然としていた。
余には余には、モルエデス神様より与えられたキングダムギフトがある。
それなのに…
フォボス・モルエデスがそんな事を考えていると、白い人物はすでに目の前まで来ていた。
見た目だけを言うなら顔立ちの整った少年と言えるだろう。
透き通る様な白い髪と真っ赤な瞳が印象的だ。
だが、そんな印象は圧倒的なオーラと、それだけで人を殺せそうな濃厚な殺気が打ち消している。
一目見ただけでわかる。
危険…
いや、そんな言葉では片付かない。
コイツは具現化した、死そのものだ。
フォボスは思った。
「よお、俺は…いや、名乗るまでもないか。悪いが今日で王様は交代だ。用無しは消えろ。発動、帝級スキル、雷帝、ライトニングバースト」
俺はそう言って雷帝を発動させる。
せいぜい王級クラスのゴミだ。
威力は2割もあれば十分だろう。
「!?っキングダムギフト、光の王国」
無駄無駄。
俺はライトニングバーストが直撃するのを待つ。
だが…
ライトニングバーストは弾かれる。
いや、正確にはあのゴミに弾かれたわけではない。
斜めからの高威力の一撃であらぬ方向にぶっ飛ばされた。
そんな所業をやってのけた存在が現れる。
「こんなバカでも私の眷属だ。殺させる訳にはいかないよ」
そこには中性的な見た目の青年が、立っていた。
同じ中性的な見た目だが、俺とはだいぶ印象は異なる。
まず見た目年齢だが、俺が15歳ぐらいなのに対し、向こうは20代前半ぐらいの見た目だ。
そして放つ雰囲気の印象も違う。
確かにかなりの力は感じる。
だが、印象自体はかなり虚ろだ。
何かの認識を邪魔するスキルだろうか?
いや、この世界じゃギフトか。
まあいい。
イグロシアルではじめての戦闘だ。
派手にいこう。
ちなみにさっきまでの、王とのやりとりは戦闘なんかじゃない。
ただの作業だ。
「そいつの飼い主か?まあ、お前には名乗ってもいいか。俺はアルムスから来た魔王、ラグア・エルライド。お前を殺す男の名だ。よく覚えておけよ?」
俺は広角を釣り上げ、そう名乗るのだった。




