第169話情報収集
さて、ようやく国が落ち着いてきた。
無茶苦茶つかれたわ。
内政とかマジでめんどくせーよ。
誰か代わってくれよ。
俺本来、元帥だから内政ノータッチなんだよ?
勝手に神級スキルで天変地異を起こした影響の後処理など、決して内政ではないが、ラグアにそんな細かい事はわからない。
まあ、とりあえずいいや。
もう終わったし。
3日の間に検証してみたが、やはりアルムスには戻れないみたいだ。
正確には最高神の概念に邪魔される。
アイツの概念は、今の俺じゃまだ打ち破れない。
まあいい。
それよりも情報収集だ。
俺はまだ、この世界は来たばかりで何もわからない。
問題は誰にやらせるかだが…
まあ、エミリーだろーな。
アイツは俺の側近の中じゃ唯一、王級に至っていない。
王級クラスが情報収集をした場合、基準がおかしくなる。
アイツらにとってはザコばかりでも、他の雑兵クラスにとっては化け物ばかりという事も最悪ありえる。
ここはエミリーが適任だな。
俺はエミリーを呼ぶ。
〜〜〜
エミリーは自室にいた。
つい先程、ラグア様より呼び出しを受けた。
完全に終わった…
ほぼ確実にいい話ではない。
エミリーの状況はこの3日で激変した。
ついこの間まではラグア様より特別幹部に取り立てられ、エリス様の為に働く事ができると喜んでいたものだ。
それが今はどうだ?
はっきり言おう。
自分はシュドレのおまけである。
王級クラスにもなれない自分が特別幹部でいられるのは、シュドレを配下に引き込んだ実績があるからだ。
だが、自分の唯一の手柄である、シュドレはアルムスにて消息不明…。
残ったのは、特別幹部という自分には、あまりにも不釣り合いな椅子…。
最悪だ。
どうしてこうなった?
ついこの間までうまくいっていたではないか。
エミリーは頭痛のする頭を抱えながら、玉座の間に向かう。
現在、魔王ラグアの配下は総統のエリスを頂点とした、完全な縦社会である。
エリスの下には最高幹部、四天王とも言われる、ラグアの側近中の側近、セリー、ライナー、フィリア、フィリムがいる。
その下、特別幹部の椅子に座るのは、現在4人…。
まずはシュドレ・イロード。
現在はアルムスにて消息不明である。
そしてシュドレと共に特別幹部になったエミリー。
ここまではいいだろう。
他の2名は神魔大戦前に、新たに特別幹部になった者たちである。
まずは、勇魔王アレス・ニース。
アレスは勇王国、アレス・ニースの実質的な統治を任される代わりに、魔王ラグアの配下になる事を選んだ。
実際には、断れる様な状況ではなかったのが正しいが、細かい事はいい。
次いでナフスト王国勇者、リル・ナフスト。
フィリアとフィリムに勧誘され、連れてこられた彼女もナフスト王国の実質的な統治を任されている。
エミリーは玉座の間に向かいながら思う。
明らかに場違い…。
シュドレ、アレス、リル…
特別幹部のこのそうそうたるメンバーの中で、自分が完全に浮いているのは、もはや明らかだ。
降格か?
いや、ラグア様の機嫌しだいでは最悪、役立たずの特別幹部は不要だから処刑というのもありえる。
エミリーは吐きそうになる。
嫌だ。
ワタシは死にたくない。
ワタシはこれからもエリス様の為に…
エミリーはそんな事を考えながら重い足取りで、玉座の間に向かうのだった。




