第151話ラグアとシュドレ3
シュドレは顔を上げる。
こいつが魔王ラグア…
昨日は落ち着いてみる余裕がなかったが、改めてみるとやはり凄まじい。
化け物…
そうとしか言いようがないレベルだ。
そして、転生者?
なんでバレた?
いや、相手は神…
こちらよりも上位の鑑定を持っているのだろう。
まあ、別に隠す事でもないし言ってもいいか。
そう考えてシュドレは答える。
「はっ、先日はご挨拶もできませんで、俺は異世界からの転生者でシュドレ・イロードと申します。ラグア様はご存知ないかも知れませんが、前世は日本と言う国で高校生と言う学生をやっていました」
俺は思う。
学生かー。
そーいえば俺、まともに高校行ってねーな。
てか中学すらまともに行った記憶がねーよ。
卒業証書とか郵送で送られてきたしね?
まあ俺の話はどうでもいいか。
とりあえず、俺も自己紹介しとくか。
俺は言う。
「なら俺も前世の自己紹介しとくわ。俺も前世は日本出身だ。一応、国内最悪の連続殺人鬼なんて呼ばれてた事もあったな。まあ、死刑になっちまったけどな?」
………?
あれ?
シュドレ君が固まってる。
ここ笑うとこだよ?
おーい?
シュドレは思う。
は?
は?
は?
ダメだ。
全く思考が追いつかない…
コイツが転生者?
いや、それはまだいい。
そうゆう偶然もない事もないだろう。
だが、後半はヤバすぎる…
日本国内最悪の連続殺人鬼?
死刑?
いや、ダメだろ。
この世界の神バカだろ?
転生させるヤツ選べよ。
差別するつもりはないが、本気でコイツ生まれてきちゃいけないヤツだろ。
てか、神の力を持ったキチガイとかマジで詰んでね?
こんなのどうやって父さんの仇を討てば…
シュドレが固まった状態のまま、そんな事を思っていると突如なんの前触れもなく、1人の女が現れた。
女はラグアをそのまま女にして、成長させた様な感じだ。
見た目は美人と言えるだろう。
だが、身に纏う邪悪なオーラと圧倒的な神の力が見た目の印象を完全に打ち消している。
ラグアもそうだが、コイツもまるで底が見えない。
化け物が2人に増えた。
シュドレはこの場から全力で逃げだしたい衝動を必死に堪える。
女は言う。
「おや?ラグア様、私に黙って男子会ですか?私も混ぜて下さいよ?………。シュドレさんですか。なるほど、いろいろと面白い方みたいですね。はじめまして、私は邪神エリローズと申します。よろしくお願いしますね?それからゼギウス。いつまで隠れているんですか?あなたも出てきたらどうですか?」
シュドレの中でエリローズとか言う女の危険度が跳ね上がる。
あれは確実に自分の目的をわかっている雰囲気だ。
その上でラグアに対して何も言わない事に、なんのメリットがあるのかわからないが、1つ言える事はコイツは明らかにラグアより更に格上…
その事はラグアが触れなかったゼギウスさんが見つかった事にもあらわれている。
頭の中ではゼギウスさんが、出ても問題ないかどうか聞いてくる。
シュドレの思考回路は既にショート寸前であった。




