第136話テレーズ帝国攻略戦3
シュドレの体を4色の光が包みこむ。
今回使うのは水…
そうシュドレが、念じた瞬間青い光が強くなり、他の3色の光は弱くなる。
四元の王は術者の記憶の中のイメージを四大属性を用いて具現化する事ができる。
記憶の中にある力はそれがスキルによるものでない限り、ほぼ完全に再現できる。
シュドレがイメージするのは、水爆…
原爆と迷ったが、あれは使った地を死の大地に変える。
さすがにそんな事はやりたくない。
この技はラグアは水星帝を使ってはじめてできたものだった。
だが、シュドレは違う。
スキルに頼らない、現代技術の科学の力は、王級スキル、四元の王と恐ろしい程の相性だった。
シュドレは考える。
そして威力は出来るだけ抑える。
理想は、敵軍の半数が死亡する程度…
それ以上は味方に被害が出る。
技を構築しているうちにわかる。
元素の配合をいじれば威力は自由自在だ。
シュドレは水爆を放つ。
その見た目はめちゃくちゃだ。
シュドレはその威力は、テレビで見ていても正確な見た目など覚えていなかった。
だが、威力だけは確実に再現している。
シュドレは威力を半分程に抑えたが、それだけでも敵軍の密集地帯に打ち込んだ破壊力は計り知れない。
轟音…
上空に浮かぶ真っ黒なキノコ雲…
それが晴れた時地上はまさしく地獄絵図だった。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「俺の…俺の足ー」
「なんでなんでなんで…ぁぁぁぁ」
生きてるのは全体の4割…
もちろん無傷なものなどほとんどいない。
少しやり過ぎたか?
そうシュドレが考えていると…
「うぅぅぅぅぅ」
シュドレは盛大に嘔吐した。
大量殺人…
こうなるのは仕方ない。
だが、先程から絶えず頭の中で鳴り響いているレベルアップの音がどこかこれが現実ではないと言っているようだ。
「シュドレっ」
シャリーが駆け寄って背中をさすってくれる。
ありがたい…
だが、そんな時間はあまりないようだった。
地獄絵図の敵軍の中から1人の男が歩いてくる。
五体満足、それどころか完全に無傷である。
威力を半分に抑えたとは言え、あれの直撃を受けて無傷…
勇者…
シュドレはそう直感した。
狡猾そう、だが果てしなく冷たい真っ暗な瞳、不健康そうな顔。
それは勇者と言うイメージからは完全にかけ離れていた。
男が口を開く。
「なかなか素晴らしい威力ですね。どうでしょう?よければテレーズ帝国にきませんか?あなたならそれなりのポストを約束しますよ?」
味方の地獄絵図には目もくれず、その男はそう言い放つのだった。




