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第116話レティス神国3


目の前にはレティスと天使の軍勢。

テオレームは笑う。

こうでなければ自分が来た意味がない。


「まあ、雷帝以外にも帝級スキルはいくつもあるがいいだろう。認めてやるよ。これは名誉な事だぞ?ロロやソドム以外を相手に神級スキルを使うのははじめてだからな。発動、神級スキル、混沌の神」


テオレームが言い終わると同時に世界が歪む。

レティス神国は文字通りアルムスと切り離された。


「何を!?」


レティスは驚愕する。

周りは一瞬の内に一面の闇。

国ごと世界から切り離されてしまった。

これが神の力…

やはり敵対するべきではなかったか?

いや奴らはここで仕留めないと世界の破滅を生む。

レティスは緩みそうになった覚悟を再び締め直す。


この世界のスキルとは物理法則を無視したものが大半だ。

だが、それにも限度がある。

王級スキルの中には島や大陸を破壊できるものもある。

これが帝級スキルまで行くとそのスキルの性質にもよるが、惑星を破壊できるものも少なくない。

そして神級スキル…

事象そのものを無理矢理ねじ曲げる神の力。

例えばラグアの万物の神はその名の通り万物の完全再現が可能だ。

まあ、今のところ神格エネルギーの足りないラグアは完全に使いこなしているとは言い難いのだが…

話を戻そう。

テオレームの持つ神級スキル混沌の神は初代ラグアが最後に手に入れた神級スキルだ。

初代ラグアの持っていた神級スキルは3つ。

七曜の神、時空の神、混沌の神だ。

初代ラグアが死んだ時、それぞれ混沌の神はテオレームに時空の神はロロに七曜の神はソドムに継承された。

テオレームが初代ラグアの配下かどうかは正直微妙なところだが、スキルが継承されたと言う事は条件は満たしているのだろう。

ちなみに時空の神と混沌の神は初代ラグアが上級魔神になった時に覚醒したスキルである。

現在の二代目ラグアが上級魔神になった時に、どうなるのかはまだわからない。


神級スキル、混沌の神の主な能力は混合空間内の完全支配である。

この世界…いや、この宇宙のほとんどの空間はいろいろな物質、事象、が混ざり合った混合空間である。

その雑多な空間こそが混沌の神の力を最大限に高める。

まあ、テオレームもラグアと同じで神格エネルギーが圧倒的に足りないのが原因で神級スキル本来の力を完全には引き出すには程遠いのだが…。


「悪いな。アルムスを壊すと二代目ラグア殿がうるさいからな。二代目ラグア殿との敵対はエリローズ様も望んでいないしな。これで心置きなくやれる。昔ソドムと本気でやり合った時は勢い余って小惑星1つ消えちまったよ。間違ってアルムスを消しちまえば次に消されるのは…まあ、俺だろうな…」


亜神テオレーム・クリムゾンはアルムスから切り離したレティス神国で、エルフ特有の緑色の髪をかきあげながら自嘲気味にそう言ったのだった。




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