第86話3度目のミグ・ヒピー
俺はエリローズと共に、北の大陸にやってきた。
遅くなったのはアイツのせいだ。
断じて俺のせいではない。
それはそうと、なんかよくわからないヤツがいっぱいいやがる。
あれ?あの悪魔のヤツは名前は忘れたけど確か俺が殺さなかったか?
なんで生きてんだ?
エリローズが言う。
「どうやらミグの神級スキルで蘇ったみたいですよ。」
なんだよそれ。
そんなのありかよ…。
俺にもできるのか?
エリローズは答える。
「できませんね。彼女の神級スキルはかなりの限定特化型の様ですね。」
コイツがあたり前の様に俺の思考を読んでくるのは、もういつもの事だから触れない。
てか考えようによっては餌量産機じゃん。
そうゆう事なら利用するだけ利用した方が得なのか?
「さすがに放っておくのはマズくないですか?既に上級神クラスが2体と準神級が1体、ジオは帝級なのでただの餌ですけど…。本来私は見てるだけのつもりでしたが、私も出た方がよさそうですね。」
「じゃー残りのヤツは任せた。俺はミグをやる。」
俺はそう言いながら千手観音モードを展開させる。
「面倒ですが仕方がないですね。概念を使って倒すと神格エネルギーごと消えてしまうのであまりやりたくないのですが。」
エリローズの身体から消滅の概念の力が漏れ出す。
イシュトスが叫ぶ。
「ここで配下を失うのは痛いが仕方がない。下級神召喚っ。」
現れたのはイシュトス配下の下級神、その数100体。
最高神配下の中級神や上級神はそれぞれ下級神を使役している。
その数はその個体によって異なるが、最高神の側近であるイシュトスクラスになると100体と言う数を使役する事も可能だ。
だが、これはイシュトスにとって、時間稼ぎのただの捨て駒だ。
ここにいる全員でかかればラグアぐらいは倒せるかも知れないがエリローズに勝てるなどとは思っていない。
俺はミグに向かって飛びかかるが、下級神の軍団に阻まれる。
「クソがっ。死ねよ。」
俺は神格エネルギーを乗せた触手の一撃を放つ。
先頭にいた下級神は真っ二つになり、俺の神格エネルギーが増加したのがわかる。
だが、下級神達も黙ってみてたりはしない。
次々に神格エネルギーを乗せた攻撃が飛んでくる。
俺はひたすらかわす。
当たればせっかく吸収した神格エネルギーが削られてしまう。
クソがっ、これじゃ進めない。
弱体化覚悟で神格エネルギーを大量消費した大技をぶち込めば、コイツらごとき一瞬で消せるが、コイツらを殺すのに、そこまでの価値はない。
となると…。
「エリローズっ、ミグまでの道を作れっ。」
「はいラグア様。発動、全能の神、ゴットインパクト。」
俺とミグの間にいた、下級神達は全員ぶっ飛んだ。
だが死んではいない。
貴重な餌減らすような愚行はいくらあのバカでもしない。
俺はミグに向かって一直線に駆けるが…。
「ちっ。」
突然の横からの攻撃。
間一髪でかわす。
「そう簡単に大将首はとれないよ?ミグが逃げきるまでウチが遊んであげるよ。」
突然横から攻撃してきたのは灰色の髪に青い瞳の女だった。
最初に感じたのは気持ち悪さ。
見た目自体は美人と言ってもいい部類なのだが、人としての感情の大切な部分が欠落している様な印象を受ける。
まー俺も人の事は言えないが…。
俺は横から攻撃して女を敵と認識した。




