第11話生贄
ウォルトは、背後から轟音を撒き散らしながら進んでくる、化け物を見た。
姿形は、グレーターアメーバに似ている。
だがそんなものではないのは、圧倒的な殺意と大木をなぎ倒しながら突き進んでくる轟音が、もの語っている。
ウォルトは予め用意しておいた、奴隷2人とともに、アメーバの顔を被った化け物を迎え討つ。
そう。
彼らは捨て駒、つまり生贄だ。
高位の魔物の中には、人と契約を交わし定期的に生贄を要求し守り神となるものもいるらしい。
だがウォルトは、目の前の化け物にそこまでは望まない。
ステータスは恐らく、倍近く離れているだろう。
補足だが普通は人間、魔物にかかわらず、鑑定の固有スキルをもっていないものは、自分以外のステータスをみる事はできない。
その鑑定もLevelにもよるが自分より格上のステータスをみる事は難しい。
某殺人鬼もエリローズの補正なしにはステータスをみる事はできない。
化け物と対峙した瞬間に、ウォルトは武器を捨て両手をあげる。
が化け物は無視して、触手による一撃を繰り出す。
ウォルトはなんとか避けるが、射線上にいた奴隷の男は横薙ぎに真っ二つにされ臓物を撒き散らして地面に転がる。
すぐ近くにいた女の奴隷など腰が抜けてしまったのか立ち上がる事さえできない。
股間には、染みが滲んでいる。
「待ってくれこちらに敵意はない。対話がしたい」
ウォルトは必死に叫んだ。
化け物は静止して動かない。
何か考えているのだろうか?
しかし、化け物は人型に変化する。
恐らく、高位の魔物が持っている擬態のスキルだろう。
化け物の姿見た目だけは中性的な美少年?美少女と呼べる様な姿に変わった。
だが次に発っした言葉はそんなイメージをぶち壊した。
「あ?今なんつった?エリローズのバカが、今の今まで翻訳つけなかったせいで最初の言葉は意味がわかってねえ」
化け物はその声自体は、キレイだったがその声の奥にあるのは明確な殺意、ウォルトは冷や汗で背中を濡らしながら言った。
それよりこの化け物邪神の事をバカ呼ばわりした⁈
とゆうかコイツは邪神とつながっているのか?
コイツはやはり危険だ敵対するべきではない。
「俺達は貴殿と敵対するつもりはない。貴殿への供物としてそこにいる女を置いていく。これで見逃してくれないだろうか?」
少年? 少女? 口調は男だから少年と仮定しておこう。
少年はその顔に似合わない巨悪な笑みを浮かべると言った。
「たかが女1匹で見逃せだと? 本気で言っているのか? それともギャグか? ギャグならあんま面白くねぇぞ」
やはり戦いは避けられないか、ウォルト自身上手く相手が乗ってくれる可能性は五分五分だった。
ウォルトは勝てないまでも時間稼ぎぐらいにはと覚悟を決めるのだった。
次回から主人公視点に戻ります。




