閑話覇王とミグ2
「じゃー、いくよー。」
あたしは全力で突っ込む。
今のところ発動させているのは、光速の帝のみだ。
理の帝のHP変換やその合わせ技である、不滅の帝の無限分裂は使わない。
そんな事をすれば、相手も光速の帝を持っている以上確実に逃げられる。
最初の激突。
となるかに思われたが…
「発動、光速の帝、魔導帝、ブラックカーテン。」
あたしの視界が突然暗転した。
クソがっ、いきなり逃げかよ。
あたしは内心で毒づく。
「発動、魔導帝、ホワイトクリア。」
あたしの視界がひらけた。
ちっ、覇王はもうあんな遠くまで…。
ミグと覇王はもう1キロ近く離れている。
このまま同じことを繰り返せば逃亡は成功するだろう。
まあ、やらせないけど。
とりあえずはイシュトスに頼らずにまずは自分でやってみよう。
余談だが、ミグと覇王の帝級スキルは3つ程かぶっている。
具体的には不滅の帝、光速の帝、魔導帝だ。
ちなみにミグの帝級スキルは8つ、覇王の帝級スキルは5つである。
あたしは重力帝を解放する。
「発動、ゼログラビティ。」
ミグの周りの重力が消える。
ステータスにはいくつかの限界がある。
まず全ての生物が最初にぶつかる物理限界。
これは1番簡単である。
これはその個体の筋量や、質量によって出せる力の限界だ。
だが、これはこの世界のほとんどの生物はレベルアップや進化によって乗り越える。
次にぶつかるのは法則限界。
ほとんどの生物はここで足踏みする。
当然だ。
これを乗り越えるのは簡単ではない。
具体的には神になるか、上限を取っ払う帝級スキルを身につけるぐらいしか方法はない。
最後にそれすら乗り越えたものがぶつかる限界、神格限界。
ミグは知らないが、これを乗り越えているのは現在2人しかいない。
エリローズと最高神のみである。
概念と言う反則級の力で無理矢理、神格限界を突破したオリジンゴッド達。
ミグはそれには遥かに及ばないにしても、その限界を越えようとしていた。
超速の速度のミグは一瞬で覇王に追いつく。
これには覇王も驚愕した。
「なっなんでお前が追いつけるんだよっ。俊敏は互角のはずなのに…。」
「ラグアとの戦いでは出す意味がなかったけど、逃げる相手にならこれで終わりだよ。」
ラグアとの戦いは俊敏を底上げしても意味がなかった。
理由はそんなもの意味を成さない、広範囲残滅攻撃の出し合いだったからだ。
「死ねよ?死んであたしの力になれ。」
マジックハザードの力を乗せた無数の触手が覇王に触れた瞬間爆裂した。




