after73神星帝争奪戦55
〜実況席〜
「ミリーのヤツ、格下相手に大人気ないなー。それに、リーゼの権能で強化したママの概念の劣化コピーを、ドヤ顔で使うのもどうかと思うけど。まあ、それでも全宇宙にたった二つしかない概念ではあるけどさ…」
リーゼは実況席でそんな風に独り言を言いはじめる…
いや、正確には独り言ではないのだが、実況席の端に直立しているジェシカはリーゼのそんな言葉に口を出せるわけがない。
「ねえ、ジェシカ?ジェシカもそう思わない?」
「いっ…いえっ、私ごときが口を出すべきことではございませんので」
いきなり話を振られたが、この様である。
「ガチガチだねー?トークもできないと立派な芸能人になれないよ?…って…お前は一応トップ芸能人か。今度、リーゼの寝室に呼んであげるよ。素敵な声で子守唄でも聞かせて欲しいなー?まあ、パパといっしょでリーゼは寝る必要なんかないから、本当に気が向いた時しか寝ないんだけどさ?」
「ぜひっ!!ぜひよろしくお願いしますっ!!」
永天に次ぐ。全宇宙No.2の絶対権力者であるリーゼからいきなり仕事のオファーがきたジェシカは一瞬の迷いも見せることなく、そう返事をした。
さすがはプロである。
「ふふっ、強かな子は嫌いじゃないよ。そろそろ次の試合がはじまるし、リーゼは行くね?引き続き頑張って?パパが主催の大事な大事なお祭りなんだからさ?」
ジェシカの顔に再び緊張が走る…
そう。
この祭りの主催者は永天様なのだ。
失敗したら次などない。
全宇宙のどこにも逃げ場なんかありはしないのだ。
「はっ、必ずやご期待に添えるよう…」
ジェシカはそのまま洗練された動きでリーゼに跪いた。
リーゼはそんなコロコロ変わるジェシカの表情を楽しみつつ、一旦イグロシアルに向けて転移する。
いけない…いけない…
楽しくなりすぎてこの子で遊びそうになっちゃった。
別にリーゼならこんな子1人遊んでも揉み消すなんか、造作もないけど、パパは身内に対して理由もなしに危害を加えることを好まない。
別に理由を捏造するのも簡単だけど、そこまでするほどのことでもないしね。
まあ、イグロシアルのプレイルームで何人か遊べば、落ち着くでしょ。
転移しながらリーゼはそんなことを考えるのだった。
こういうところは完全にラグア譲りである。
多忙により、24日の更新はお休みします。
すいませんがよろしくお願いします。




